初めてのでーと 第14話


 ――ゆっくりと、唇が離れる。
 お互い目が合うと、何故か不思議と笑いが込み上げてきた。
「これで彗さんとは、二つ契約をしたことになりましたね」
「あぁ。そうだな」
 嬉しそうに言った円花に対して、彗もフッと口元を緩めてそう答えた。
 言葉にする必要もない。行動を示す必要もない。
 ただ一緒にいるだけでお互いの気持ちが不思議と伝わってくる。以心伝心とは、まさしくこの通りなのだろう。
「帰りますか。彗さん」
 名残などはどこにもない。
 今、ここで出来ることは、ほとんど達成できたのだから。
「あぁ。そうだな」
 それは彗にとっても、同じことであり、彼も円花の提案に首を頷かせた。


 ――死神だとか、人間だとか、そんなものは関係ない。

 大切なのは『想う心』

 お互いがお互いのことを愛しく想う心

 お互いがお互いを大切に想いあう心

 それさえあれば、十分。いや、それがなければ、それは『友情』とも『愛』とも言うことは出来ない。



「彗さん」
 そう呼びかけた彼の方へと顔を向ける。

 それは――最も愛しい存在

 きっと自分は彼以外のことを好きになることは、未来永劫、ありはしないだろう。



「何だ?」
 めんどくさそうにしながらも、そう言葉を返してくれる彼。



 ――誰にも渡したくない。

 ――自分のことだけを見ていてほしい。

 そんな醜い心を、自分の中に生まれさせるのも彼。

 そんな何もかもをまとめて……自分は

「大好きですよ」

 本当に、彼のことが大好きだ。


「あぁ。俺もだ。円花」


終わり


 やっと完結……。な、長かったような短かったような……。
 とりあえず、終わり方に困った作品ですけど、とりあえず終わり方としてはよかったかなぁ?と思ってます。
 とはいっても、今回書きたかったのは教会ネタでして、実際、新婚ネタにしようかと悩んでいたのですが、それだと怪しい雰囲気になりかねないのでやめました。
 これからもスタンプデッドの二次をがんばろうと思います。無論、他の作品もですが。
 では、今日はこの辺りで。