「……」
リタがジーッとただひたすらにライルを見つめる。
「…どうかしたか?」
視線に気付いて、ライルがリタに声をかける。
だが…リタの様子はまったく変わらない。
「……」
ライルの声が聞こえていないような…そんな素振りで相変わらずライルを見つめていた。
「…おい」
耐えるに耐えかねて、ライルは再び声をかける。
だが…案の定リタは無反応だった。
「……」
「…何なんだ。一体…」
答えても、もう無駄だと思ったのか、ライルはため息をついて、リタから視線を外した。
「…」
それでも、リタの視線を感じる。
最初のうちは、我慢我慢…と思っていたが、次第に落ち着かなくなってくるのが普通である。
…ライルもやはりそうで、耐え切れず再びリタに声をかけた。
「…さっきから、何だ?」
「…変わってない」
リタはクスリと小さく笑った。
不覚ながら、そんなリタにドキリとしてしまったライルだったが…すぐにブンブンとそんな考えを振り払った。
「な、何がだよ」
誤魔化すようにいったつもりが…声が上ずっていた。
これでは、バレバレである。
「…ライルの昔からの癖よ。…癖ってやっぱり変わらないんだな。って思って」
「癖?」
…自分ではあるとはまったく思っていなかった。
…確かに、癖はどちらかというと他人の方が気付きやすい。
しかし…何故にリタが。
「リタ。何で、お前はそんなこと知って…」
「…あっ。そろそろ情報収集に行かなきゃ」
リタはスッとすぐさま立ち上がり、そそくさと去っていった。
「何なんだよ…。一体」
…期待してしまうだろうが…。
などと思ってしまうライルであった。