植木のドンと来い!ラジオ その13


「ラジオをお聞きの皆さん、こんばんは。植……」
「ニュースの時間です」(眼鏡をクイッ)
「って、ちょっと待ちなさい!?」
「ん? 何だ? 森」
「どうして、あんたが眼鏡してるのよ!?」
「いや、ニュースキャスターと言えば、やっぱり眼鏡だろ!」
「って、その基準、本当のニュースキャスターさんたちに失礼でしょうが! っていうか、この番組自体がニュース番組じゃないし!!」
「あれ? 違ったっけ?」
「違うわ!? っていうか、あんた、司会者でしょうが!」
「そうだったっけ?」
「そこまで忘れちゃったの!? っていうか、この番組のタイトルにあんたの名前が使ってあるじゃない!」
「そうだったか?」
「……待ちなさい。あんたが忘れてるのは何? この番組の名前?」
「この番組は、植木のドンと来い!ラジオだろ?」
「……あんたの名前は?」
「何だっけ?」
ドゴッ!
「ぐほぁぁぁっ! 死ぬ、死ぬ!」
「いっそ死ね! いっぺん死んだ方が、よっぽどまともな人間になるわ!」
「待て! 今、名前を思い出した!」
「……へぇ。何? あんたの名前」
「植木耕助……」
「へぇ。正解よ」
「ほっ……」
「でも、親につけられた名前を一瞬でも忘れてんじゃねぇぞおらぁぁぁぁ!!」
「ひぃぃぃぃぃぃぃっ!? ちゃんと、俺は答えたぞ!?」
「誰が正解したら、あんたを助けるって言った?」
「ギクッ……」
「植木くんのお父さん? 植木には、ちゃーんと私が罰を与えておきますからね? あ、ひょっとしたら、違う形になってそちらに飛んでいっちゃうかもしれないけど」
「怖い怖い怖い怖い怖い!! 何だよ、その笑顔は!! っていうか、違う形って何!?」
「何って、うーんと……魂?」
「何で聞く!? っていうか、俺が死ぬってことじゃんか!?」
(うむ、そんな奴は一度殺っておいてくれ)
「ほら、お父さんの許可も取れたみたいよ。よかったわねー、植木?」
「父さん!? って、今の思いっきり編集長の声じゃねぇか!? 一瞬騙されそうになったぞ!?」
「編集長は、コ〇ンもびっくりの変声機を持ってるからね」
「それはすごいのか、違うのか、すっげぇ微妙なランクだぞ!?」
「……それよりも、早く番組を……って、もう時間!?」
「おいおい……。誰の無駄話のせいだよ」
「あんたでしょ?」
「いや、どっからどう見てもお前だろう」
「へぇ……。その証拠は?」
「とか言って、ポキポキ腕を鳴らすな! 暴力反対だぞ!?」
「何言ってるの? これは、正当防衛よ?」
「防衛っていうのは、やられてから成り立つもんだろうが!?」
「うっさい。黙れ」
「って、思いっきり誤魔化そうとするな!? や、やめっ、やめっ……」
「ふふふ……。死ね?」
「やめっ、ギャァァァァァァァ!?」

終了 …何なんだろう、このノリは