植木のドンと来い! ラジオ

「こんばんは…」
「こんばんは。今日も始まりました、植木のドンと来い!ラジオ。司会は、私森あいと…」
「植木耕介だ。よろしく」
「それにしても、てっきり数週間も放送がないから、放送打ち切りになったのかと思ったじゃない」
「俺は、お前の機嫌がすっかり直ってることにびっくりしたぞ」
ゴスッ!
「ぐほあッ!?」
「…ねぇ、植木? 誰のこと? その前回の放送から数週間も経ってるっていうのに、まだ怒っている心の狭い奴と思ってた”お前”っていう人間は」
「…やっぱり、まだ怒ってるじゃ…」
ドカッ! バキッ! ザァーー
「お茶の間の皆様、大変お見苦しい放送をしてしまったことをお詫びいたします」
「誰のせいだ、誰の…」
「何か言った? 植木」
「いえ、何も言ってません」
「そう、それならよかった。じゃあ、今日のお手紙を読みまーす」
「…鈴子の暴走も恐ろしいけど、森の暴走はもっと恐ろしいな」
「植木、ぶっ殺すわよ?」
「…ごめん。俺が悪かった」
「コホン…。さぁ、気を取り直して、今日のお手紙は…」
「…森? どうして固まる?」
「『植木くんが森ちゃんにキスをしてもらいたいですねー! 逆でも良いですよ・・・!!! 』…です」
「…そういえば、前回もそうだったな。あっ、後。森」
「…何よ」
「うわー。いきなり不機嫌モードか。…編集長が『前回、植木からだったから、今回は逆からね』ってさ」
「…それ、本当?」
「あぁ。編集長が、あそこでカンペ見せてるだろ」
「…あとで、編集長は…」
「公共の放送だからな。森」
「分かってるわよ!! というか、それなら何で公共の放送で、キスさせようとするのよ!?」
「だから、それは…ラジオ局の人が…」
「それは前に聞いたわッ!!」
「そういえば、そうだったな」
「…とりあえず、時間もないし…植木、準備して」
「ん? いつでも、出来てるぞ」
「早ッ!? いつもの鈍感な植木はどこに行ったのよ!?」
「いつも、そうだったっけ?」
「…まぁ、いいわ。さっさと目を瞑って…」
「分かった」
「……」「……」「……」「……」「……」「……」
「…森、何秒経った?」
「あー、もう! うるさいわね! 気持ちを落ち着かせてるのよ! すぐにするから、黙ってて!」
「……」「……」「……」「……」「……」「……」
「森…。お前な…」
「うぅ……」
「…唇じゃなくても、頬とかでいいんじゃないのか?」
「…そ、それもそうね。…早く言ってよ」
「…気付かなかったのか…」
「うるさい! …とりあえず、そのまま動かないでよ」
「あぁ…」
チュッ…
「…これでいいんでしょ?」
「実際は、唇にしてほしかった」
「なっ!? …とりあえず、今日はここでお終い! 来週もお楽しみに!」
「…あ、あぁ。来週も…って、勝手に終わってよかったのか?」
「いいの!」

続く