植木のドンと来い!ラジオ
「今日も始まりました。植木のドンと来い!ラジオ、司会は私、森あいと…」
「同じく、植木のドンと来い!RADIOの司会の…」
「って、どうして、そんなに発音良く言うの!?」
「いや、今日の英語の時間で」
「どうして、高校生にもなって、RADIOを習うのよ!?」
「”TV”を習ってな…」
「…って、RADIO習ってないんかい!?」
「RADIOは、まだ習ってないんだよ」
「しかも、まだ習ってないの!? それなのに、どうしてそんなに発音がいいのよ!?」
「これには、とある事情があるんだ」
「何よ、事情って…」
「最近、姉ちゃんが『耕ちゃん、RADIO買ってきて』って、連呼するようになったんだ」
「ふーん、翔子さんが…って、連呼って、あんたんちには一体いくつラジオがあんのよ!?」
「1個」
「って、1個かい!? 植木、あんたがさっき言ったことと矛盾してるじゃない!?」
「HAHAHA! そうだったか?」
「そこも発音をよくするなッ! どこぞの外国人に聞こえてくるから!!」
「…とりあえず、今日のお手紙行くぞ」
「あ、ちょっと待って。実は今日はゲストが来てるのよ」
「ん? ゲスト?」
「そうそう。編集長が、かなり奮発して、招待したゲストですって…」
「奮発って…そんなに金あったのか? この会社」
「そういうことを言わない。…じゃ、今日のゲストは…」
「天正やおよろずから、やってきた『ライル・エルウッドさんと薙刃さん』です」
「こんばんは!」
「どうも…」
「ほら、ライル、ラジオなんだからもっと元気ださなきゃ!」
「いや、そんなことを言われてもな…」
「…早速だけど、ライルさん、薙刃さんに尻を敷かれてるわね…」
「(あいつと俺は…似ている!!)」
「って、植木? 何で、眼を輝かせてるのよ」
「いや、別に…」
「えっと、天正やおよろずでは、ライルさんが主人公なのよね?」
「あ、あぁ。そうだが…」
「…どっから、どうみても、ライルさんはハーレム状態よね」
「は!? ちょっと待てッ!? どうして、そうなる!!」
「(無視)で、誰のことが好きなの?」
「はっ!?」
「あ、ライルの顔、真っ赤になってる!」
「おー、本当だ」
「そこの二人、うるさいッ!! …というかだな、そういうことは…」
「誰も聞かないから、読んでて不思議なのよね…。で、どうなの? この5人の中で本命は誰なのよ? ん?」
「だから、そういうことは…」
「ふーん、じゃあ、全員どーでもいいのね?」
「…そうだったの? ライル」
「あ、いや…、全員が嫌いだとかそうじゃなくて…、誰かが好きとかなんて考えたことがないだけで…」
「全国の読者は、あなたと誰が結ばれるのか、きっと期待してるわよ」
「期待してないッ!! 俺は、そう信じる!!」
「(無視)さて、薙刃さん。あなたはどうなの?」
「私?」
「そうよ、あなたは、ライルさんのことをどう思ってるのかしら?」
「どう…って、好きだよ? ライルのことは、大好き!」
「なっ!? 薙刃、何を言って…」
「それと、それと…ポチのことも大好きだし、シロのことも大好き…。えっと、それから…」
「あー、薙刃さん。…もう、いいわ。ライルさん、もうボロボロだから。」
「…はは。そうだよな。薙刃が、本気で特定の人間を好きになるなんてありえないな…。どうして、動揺したんだ。俺は…」
「…ライル? どうかしたの?」
「いや、何でもないんだ。何でも…」
「…無垢って、哀れね」
「…そうだな」
「…それじゃあ、そろそろ、今日の放送は終わりましょうか」
「そうだな…。久しぶりに時間をかけすぎたか?」
「そうね。ライルさん、落ち込みようは分かるけど、終わりの挨拶はしてください」
「…そう、だな」
「……?」
「(…薙刃さん、まったく気付いていない。本当に哀れね…)それじゃあ、今日はこの辺りで…」
「聞いてくれてありがとな」
「聞いてくれてありがとう!!」
「来週も聞いてくれ…」
「ライル、もっと元気出さなきゃ!!」
「あぁ…そうだな」
終了