いやじゃない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

植木は、この日、先生に頼まれて体育館倉庫に物を置きにいった。

 

めんどくさいし、やる気も出ない。

 

しかし、植木は先生から頼まれると断ったことはない。

 

まあ、頼まれても限界なお願いもあるかもしれないが・・・

 

学校ではそんなことは無いだろう。(笑

 

ボールが入っているかごと、テニスラケットが入っているかごを両手に持っていた。

 

(そういえば、体育館倉庫どこだっけ?)

 

体育館の場所は覚えているのに、体育館倉庫の場所はわからない。

 

当然、体育館の中にあるのだが、いままで頼まれたことが無かったので、困った。

 

(聞いておけばよかったな。体育館倉庫の場所)

 

体育館に着くと、さっそく倉庫を探すことにした。

 

(どこかな?まず、扉が見つからないしな・・・って、あれ?)

 

ひとつだけ、扉が開いていた。

 

間違いなく、そこが倉庫だと思った。

 

しかし、なかには・・・

 

(あれって、森だな)

 

こういうときだけ、思考回路の回転が速い。

 

森のことになると、いつも頭の回転が早くなるのだが・・・

 

とにかく、森も何か運んでいるようだったので、近づいた。

 

そのとき、足音を静かにして近づいたのには、ちょっとしたイタズラ心があったのかもしれない。

 

森のすぐ近くにたった。

 

「なにやってんだ?森」

 

「へ?う、植木!!!」

 

森はとても驚いたようで、後ろの壁まで下がった。

 

しかし、そこにはたくさん体育で使う道具が置いてあった。

 

森はそんなことに気づかず、後ろに下がった。

 

ーガタッー

 

(え?)

 

森が驚いたときには、後ろのものが倒れてきていた。

 

「危ねえ!!!!!」

 

植木は、急いで森の下に駆け寄った。

 

ーバタン ドスッー

 

何かが倒れてくる音。

 

何かがしまる音。

 

二人は、目をつぶっていたため、どんな風になっていたかわからなかった。

 

唯一、わかったことは、二人とも、自分が物に押し倒されたということだけだった。

 

しばらく立ち、音が無くなった。

 

「森、大丈夫か?」

 

植木の声がすぐ上にしたかと思い、上を向くと、すぐ間近に植木の顔があった。

 

(!!!!!)

 

思わぬ、急接近。

 

植木がかばったことはよかったのだが、そのことでいまの状況に至っている。

 

植木が、こちらを向いたら、まちがいなく、顔を見ることができないだろう。

 

しかし、自分の胸になにやら、変な感覚がある。

 

(あ、あれ?な、なんか、触られている感じが・・・!!!)

 

森は、いまなっている状況に、本当にまずいと思った。

 

一方の植木は、森からの返事が無いので、心配になっていた。

 

(森のやつ、どこかで埋もれてるのか?でも、俺も動けないし・・・)

 

実際は、すぐ下にいるというのに、視線がいっこうに向かない。

 

しかし、植木には少し疑問があった。

 

倉庫の床は、固いはず。

 

しかし、自分の左手があるところは、やわらかい感触がするのだ。

 

(なんだろ?これ?)

 

と思い、少し左手に力を入れてみる。

 

当然、驚いたのは、森。

 

いきなり、胸を握られたからだ。

 

(!!!。ちょ、ちょっと植木。や、やめてよ・・・)

 

初めての感触に、寒気が走った。

 

「う、植木・・・」

 

さすがに、やめて欲しいので、声を出した。

 

「森!?」

 

森の顔がすぐ近くにあったので、植木は驚いた。

 

「あ、あのさ、そ、その、左手離してくれない?」

 

「え?」

 

「あ、あのね。そ、それ、あたしの胸なんだけど・・・」

 

「!?。ご、ごめん!」

 

森の胸をつかんでいた。

 

そう考えると恥ずかしくなる。

 

いくらアクシデントでも、これはどうしようもない。

 

植木は、急いで左手を森の胸から離した。

 

(森の胸って柔らかかったなーって、なに考えてるんだ。おれは)

 

いつも冷静にしているのに、こんなことを考えているとわかったら、むっつりになってしまう。

 

左手を他のところに、うつそうと体を上げたときだった。

 

植木の上のものが、植木にのしかかってきたのだ。重さに耐え切れず、植木は森の体の上に倒れてしまった。

 

「う、植木!?」

 

「す、すまん」

 

しかも、さらに最悪な状況。

 

あまりにも重いため、体を上げることができない。

 

植木と、森の体は完全に密着してしまった。

 

唯一くっついていない顔は、もう20cmもない。

 

しかも、二人とも、相手のほうを向いている。

 

(植木にキスされるかもしれない・・・)

 

(こんな状況、耐え切れないと思う)

 

しかも、相手は愛しい人。

 

そのため、よけいに鼓動が早くなる。

 

「も、森、重くないか?」

 

「え?う、ううん。そ、そんなことないよ」

 

会話をしただけで、相手の呼吸が顔に触れる。

 

二人とも、顔が真っ赤で、かなり動揺している。

 

「悪い。おれのせいだな・・・おれが、驚かさなきゃ、こんなことにならなかったのに・・・」

 

「植木のせいだけじゃないよ。後ろのものにぶつかったわたしも悪いんだし・・・」

 

こんなときは、あせったらだめだ。

 

少しだけ、冷静になって二人は話した。

 

とはいっても、鼓動のほうは冷静になることができない。

 

「あ!」

 

「どうしたんだ?」

 

「え?う、ううん。なんでもない」

 

森が驚いた理由は、スカートが捲れ上がって、元にもどらなくなったからだ。

 

「ごめん。耐え切れないかも・・・」

 

「え?」

 

植木からの言葉に、驚いた森。

 

「おれ、この状況、耐え切れないかもしれない・・・」

 

すると、森は目をつぶった。

 

「森?」

 

「い、いいよ、しても。我慢しなくても、いいからさ・・・」

 

「え?」

 

森は、それから沈黙してしまう。

 

「いいのか?しても?」

 

森は、目を瞑りながら、少ししか動かない顔を縦に動かした。

 

(森・・・)

 

植木も目を閉じて、森の唇にキスをした。

 

「んっ・・・植木・・・」

 

二人は、完全に密着した。

 

それは、上に乗っかっている物のせいじゃないかもしれない。

 

離れたくない。

 

その思いがつながっているからかもしれない。

 

最初は、唇に触れるだけだった。

 

「森、いいのか?」

 

「・・・うん」

 

森は、植木の首に手を回した。

 

一度、唇を少しのあいだだけ離し、すぐに再び口付けした。

 

今度は、唇に触れるだけではない。

 

「んっ・・・んん」

 

植木は、森の口の中に、舌を入れた。

 

森は、初体験だったが、素直にそれを受け入れた。

 

ディープキス。

 

テレビのドラマや、洋画で見たことがあった。

 

自分もするときが来るとは思っていなかっただろう。

 

「ふっ・・・ん」

 

植木の舌は、少しずつ森の口の奥へと入っていく。

 

森は嫌がる素振りも見せない。

 

(森・・・)

 

やがて、植木は、自分の舌を森の舌と絡ませた。

 

「んんっ、ん」

 

首に回した手が強くなる。

 

植木のものと、森のものが混ざり合う感覚がする

 

森が辛そうだったので、いちど唇を離した。

 

「ふぅ。う、植木・・・」

 

「森、辛いか?」

 

「う、ううん。大丈夫」

 

一番、愛しい人とキスできること。

 

いまは、それが幸せになっていた。

 

「植木・・・大好き」

 

「おれもだ・・・」

 

それを確認すると、再び二人はキスをした。

 

今度は、本当に深いキスだった。

 

「んんっ・・・ふっ・・・んっ」

 

「森・・・」

 

「んっ・・・植木・・・」

 

体育の道具で、二人の体は完全にくっついている。

しかし、体育の道具では、心まではくっつかない。

でも、二人は完全に、心まで重ねた。

それは、もう離れないぐらいに・・・

 

おまけ

 

「ふぅー。それで、どうするの?この状況・・・」

 

「こういうときは・・・」

 

「百鬼夜行!」

 

手元にあらかじめ持っていたゴミを握って、神器を出した。

 

やっと、外の景色を見ることができた。

 

外を見ると、すっかり真っ暗である。

 

おこそうと思って、森のほうを見た植木は驚いた。

 

乱れている、制服。

 

完全に捲れあがったスカート。

 

森は急いで、服を元に戻した。

 

森の顔は真っ赤である。

 

「・・・」

 

「森?どうしたんだ?」

 

「なんでもない・・・」

 

森はスカートを押さえながら、こっちを向いた。

 

(なんなんだ?)

 

疑問に思いながらも、二人は真っ暗になっていた道を帰った。

 

会話がないまま、沈黙している二人。

 

「森、今日のこと怒ってるのか?」

 

「え?」

 

植木のいった言葉に驚いた。

 

「だって、いきなりあんなキスしただろ。それで、怒ってるんじゃないのか?」

 

「そ、そんなことないわよ」

 

「そっか・・・」

 

少しだけだが、植木が笑ったような気がした。

 

「それに・・・もうちょっと、味わっていたかった。」

 

「な!?」

 

植木からのいきなりの発言に、驚く森。

 

「あんなこと、滅多にできないからな・・・」

 

「ば、バカ!!!」

 

真っ赤になり、俯く森。

 

すると、森の家の前に着いた。

 

「じゃあな」

 

「うん。でさ、植木・・・」

 

森は、植木の耳元に近寄って、あることをささやいた。

 

したかったら、いつでもしてあげるわよ。あんまり我慢しないでね

 

「な!?」

 

「じゃあね」

 

真っ赤に染まった植木は、家の中に入っていく森を見ていた。

 

(やばい・・・あんなこと言われたら、また、したくなっちまう)

 

次の日から、また、森と二人きりになれるチャンスを必死に探す植木だった。(笑

 

終了

 

 

 

あとがき

ははははは(笑 甘すぎるーーーーー!!!!

すごいっす。自分で書いてて、恥ずかしい。

最後はギャグみたいな感じで書きましたが、ああ、すごい。

自分でかいてて自分で驚いてます。

温泉旅行よりも、すごいかも・・・

激甘を希望してくださった、仁菜さん。ありがとうございます。

以上、朔夜でしたーー!!!

2004年11月29日