「森…、大丈夫か?」

 

 自分から組み敷いておいてよく言う…。

 

 そんな彼の心配した言葉には、文句の一つでも言いたくなる。

 矛盾してる、だとか…だったら、やめなさいよ。とか…。

 

 だけど…

 

 

 何も言えない…。これが惚れた弱みというものだろうか。

 

 

「うん……」

 

 

 頷く。ただ一度だけで頷く。

 不思議なものだ。

それだけで…気持ちは十分に伝わるのだから。

 

「じゃあ、動くぞ…」

 

 彼の腰が、ゆっくりと上下し始める。

 

「あっ…ん!」

 それと同時に押し寄せてくる、痛み…そして快感という名の波。

 

 

 時には強く、時には弱く、私の身体を飲み込もうとする。

 

 

 あぁ…、私は…もう

 

 

 彼なしでは……ダメかもしれない

 

 

 

 

「今日、うちに来ねえか?」

 植木はいつものように何げなく私に話しかけてくる。

 まったく、これぐらいの年齢になったら男女の間に遠慮というものが生まれるものなのだ。それが、恋人という特別な関係だったとしてもだ。

しかし、どうして、目の前のこの男は…そんなことをまったく気にしないんだろう。

 

「別にいいわよ。特に用事もないし…」

 ぶっきらぼうに答える私だって、はたから見ればおかしい人間。

 どうしてそこまでの常識があるくせに、了承する。

 そう思う人々だって、いくらでもいるに違いない。

 だけど…それには理由がある。

 

「よし! それじゃあ、決定だな!」

 嬉しそうに彼は言う。

 そんな彼の表情を見ていると、私は心が温かくなる。

 不思議…だな。昔はそう思ったけど、今ではそうは思わない。

 どうしてそんな風に感じてしまうのか、どうして心が温かくなるのか…。

 月日が経った今、私は自覚してしまっているから。

 

 そう…

 

彼が好きだと。

 

 それがさっき私がぶっきらぼうに返事をした理由。

 

 

 それはたった二文字の言葉だけど…世の中の仕組みはそれで成り立っている。

 誰が好きで、誰が好きじゃない。

 友達だとか同級生だとか、対象は違っても…それは変わらないもの。

 

 そして…彼も同じだった。

 彼は…ぎこちないながらも、ちゃんと私の思いに答えてくれた。

 そのときは嬉しくて…何が何だか分からなくなって…泣いた。

 きっと…それはうれし泣きだったんだと思う。

 

 

「今日、誰もいねぇんだ」

 家に着くと、何気なく彼は私に伝える。

「……」

 私の中の時が止まる。それが何を意味するのか、すぐさま分かる。

 そして…私の予想通りに…時は…

 

 

 

 ゆっくりと進み始めた。

 

 

 

 バタンッ! ドアが閉まる音がした。

 そして…

 

 

「ッ……!?」

 息を呑む。私自身、思考が追いついていかない。

 

 

「森……」

 後ろから抱きすくめられ…耳元でそっと名前を囁かれる。

 耳元に息がかかり、ゾクッと身体に悪寒が走る。

 

 

「やっ……!」

 彼の手の進行を妨げられない。

 彼の両手が、ゆっくりと私の胸に伸びる。

 

 

「ぅんっ……」

思わず漏れそうになった声を必死に耐える。

 制服越しなのに、それでも…しっかりと感触は伝わってきて…

 嬌声を漏らさまいと我慢するだけでも精一杯だった。

「んっ…やめて…。植木…」

 

 

 だけど、彼の手は…彼の指は…私の懇願なんかでは止まらない。

 左手で胸を攻められながら、もう一つの手は制服の裾からゆっくりと服の中に侵入してくる。

「う、植木ッ!」

 

 

 外気に触れていた彼の冷たい手が、私の地肌に当たり…ビクリと体が震える。

 私の言葉なんてまるで聞こえていないように、彼の手はゆっくりゆっくりと、私の地肌を這い上がってくる。

 

 声を漏らすのを我慢するだけで限界な私に、それを阻止する方法は…ない。

 ようやく目的の場所まで到達した植木の手は、何のためらいもなく、服の中で私のそれを隠す下着をずり上げた。

 

 

「だ、ダメッ…!!」

 いまさら、懇願したところで…無駄だと私にも分かりきっている。

 しかし、今の私に出来る唯一の抵抗は…それしかなかった。

 

 

「あっ…んっ……」

 直に触られ、服越しにも触られる。

 そんな違和感が、私をより快感の渦へと巻き込ませようとする。

 

 

 今の彼は…一体どんな顔をしているんだろう。

 私から彼の顔はまったく見えない。

 でも…きっと…獲物を捕らえた獣のような目をしているんだろう。

 

 理性という名の仮面が崩れ、現れる…野生の顔…。

 今の植木が…、ひょっとしたら本当の植木の姿なのかもしれない。

 

 ただ貪欲に…、雌を求め…、そして…犯す。

 そんな雄の本能にただ従うだけの…。

 

 

「んぁっ…!」

 何かを摘まれ、ビクッと体が震える。

 私の足は…もう力が入らなくなりかけている。

 そして私の身体も精神も…

 

 もう、限界だった。

 

 

「植木…。お願い…あんたの部屋で…」

「……」

 彼は…答えない。

 だけど、彼の手の動きは…止まった。

 それと同時に、ガクッと足の力が抜ける。

 

 

「…大丈夫か?」

 私の腕を持って、彼が心配そうに聞いてくる。

 こんな風になるまでやったのは誰よ…。

 そう彼にいってやりたい。

 

 

 彼に案内されて、部屋の中に案内されれば…もう布団は準備してあった。

 どうして? …そう確認するまでもなく、私は布団の上へと押し倒される。

 そして…見てしまった。

 

 彼の…瞳を…。

 

 

 その途端、動けなくなって…ただただ彼に身体を任せることしか出来なくなる。

 

「森……」

 名前を囁かれる。

 それが…彼の瞳に魅せられた私にとって、最大の媚薬…。

 もう…止まらない。止められない…。

 植木という名の獣に…私は捕らえられてしまったのだから。

 

 

終了

 

あとがき

…中途半端ですいません!? そして、何か意味わかんなくてすいません!! そして、タイトル入りにくくてごめんなさい!! …エロっぽいですかね?などと思いながら書きました。執筆時間約1時間です!(早ッ!?)

WEB拍手からの要望が多かったため…ラブラブな感じで行こうと思ったのですが、何やらシリアス的な雰囲気もあります。いや、鬼畜…でもあるかな。そして、長そうに見えて、かなり文章量は短いという…(申し訳ありません)

本番までは書きませんでした。いや、書けませんでした! ということで、次回の作品で頑張ります! 今回は…感想を待つというか…そんな感じです。評判がよければ、さらに書こうかな…と思っていまして。

っと、あとがきを長々と描いてしまいました。申し訳ないです。では、今日はこの辺りで…