なんでかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最近、クラスのある男子に目がいくようになっていた。

 

よく、クラスで居眠りしている植木耕助だ。

 

いろいろな場面で、自分を助けてくれたやつ。

 

クラスの休憩時間のときには、自分の友達よりも、先に話したくなる。

 

友達に、一緒に帰ろって、頼まれても、植木と先に約束をしていると、断ってしまう。

 

植木に相手をされると、とっても嬉しい。

 

眠っている植木の顔を見ていると、自然と安心する。

 

それに、植木がこっちに向いて笑ってくれると、顔が赤く染まる。

 

(あたし、どうしちゃったのかな?)

 

植木が、先に登校していると、走りよってとなりを歩きたくなる。

 

植木のそばにいるときが、いまの自分にとって、一番幸せなこと。

 

でも、いまひとつ、実感がわかなかった。

 

(あたしにとって、植木って、一緒にいたい人なのかな・・・わかんないや)

 

自分で考えておいて、そんなことはないと、思っている。

 

しかし、それがどんなことなのかがわからないのだ。

 

「森、どうしたんだ?」

 

ボーっとしていたので、ふしぎに思い植木が話しかけた。

 

「え!?う、植木!?い、いつの間にいたの?」

 

あまりに植木が近距離にいたため、顔が赤くなった。

 

「ん?森、どうしたんだ?顔が赤えぞ」

 

「え!?そそそ、そんなことないよ」

 

心臓の鼓動は収まることなく、とてもはやく動く。

 

―ピトッー

 

(え?)

 

額に冷たいものが触れる。

 

「ん。熱は無いようだな」

 

「う、植木!?ちょ、ちょっとなにするのよ!?」

 

「なにって・・・顔が赤かったから、熱があるのかなっておもって・・・」

 

植木にとっては、森のことが心配で行った行動なのだ。

 

しかし、森はそんなことは考えられない。

 

ただ、額を触れている植木の手を感触を静かに確かめていた。

 

(植木の手って、意外と冷たいんだね)

 

そんなことを思って、時間が過ぎるのを待つ。

 

やがて、手が離れた。

 

わずか、何秒間のことだったけど、森には、何分間のように思えた。

 

(植木、ずっと触れてて欲しかったな。って、なに考えてるの。あたし)

 

思わず、考えたことを頭から消した。

 

「ねえ。今日、植木ひま?」

 

「ん?ひまだけど・・・」

 

「じゃあさ、一緒に帰ろ!」

 

「べつに、いいぞ」

 

そうして、学校から帰りだす二人。

 

「ねえ。今日ね、おもしろいことがあったの!」

 

「なんだ?」

 

「それはね・・・」

 

そんななにげない会話をしていた。

 

すると、左手に、暖かい感触がした。

 

(え?)

 

左手に視線を落とすと、植木が自分の手を握ってくれていた。

 

(植木・・・)

 

とくに、なにもいうことなく、二人は帰り道を歩いていた。

 

この二人が、思いを伝え合うのは、もう少しあとのこと・・・

 

終了

 

 

 

あとがき

どうでしょうか?配布小説第二作目。

がんばりましたよ。植木が、最初だったので、森にして見ました。

次は、二人が思いを伝え合うものにしようと思います。

では、お楽しみに。

朔夜でした