「さて、今日も始まったでぇ。Mr.佐野のどんなもんや! ラジオの時間が」
「佐野くん、試聴率0.1%ですわ」
「いきなり、そんなこと言わんでいいわい! 調子狂うわ!?」
「佐野くん、オープニング流しますわね」
「…わいのことは無視かい。」
ジャジャジャジャーン! ジャジャジャジャーン!
「ちょいまてや!?」
「グダグダ言わず、さっさと進めてください。放送時間はたったの5分ですわよ?」
「短っ!? って、そうやない! 何で、オープニングが「運命」やねん!」
「あ、視聴率がかなり上昇しました」
「アレで!? 何で『運命』流しただけで視聴率が上がるっつうねん!!」
「視聴者は大体外人が多いようですわ」
「嬉しくない!! 全然、嬉しくない!! それは、単に音楽につられた人間ちゃうんか!?」
「佐野くん、最初で最後のお手紙ですわ」
「スルーかい…。しかも、嫌な言い方やな。最初で最後…なんて。そーいえば、手紙なんて応募してたか?」
「まぁ、読んでみてください」
「…まぁ、いいわ。えー、最初のお手紙は…ペンネーム・DOGさんの…ってこれ、犬丸からかい!?」
「時間を無駄にしないでください。佐野くん」
「あ、相変わらずスルーかい。…えー、”佐野くん、君クビね”…は?」
「おぉ。素晴らしい視聴率ですわ。佐野くん」
「嬉しくないわ!? っていうか、嘘やろ!? この手紙の内容、嘘やろ!?」
「いいえ、事実です」
「ちょい待てや!? 犬丸はわいの上司ちゃうぞ!?」
「その手紙が、犬丸さんからだとは誰も言ってませんが?」
「は、はぁ? でも、このペンネームからして、そうやろう」
「ついでに、そのDOGというペンネームは、私が勝手に偏見で名づけたものです」
「紛らわしいわッ!? で、本当は誰からやねん」
「部長の馬田さん」
「DOG、関係ないやん!? 犬やなくて、馬やんか!?」
「佐野くん、さようなら。生きていたら、いつか会えるでしょう」
「何やねん!? その死にゼリフ!? と、とりあえずわいは絶対にここをやめんで!」
「視聴率が下がりました」
「何でやねん!?」
「”佐野をやめませろ”との電話がたくさん来ているそうです」
「何でッ!? それが、視聴者の総意なんか!?」
「今年の流行語大賞は”佐野くん、君クビね”で決まりですね」
「嫌やわ!? 絶対に認めんぞ!? わいは認めんからな!!」
「今日の放送は終了しました」
「鮮やかにスルー!? わいは寂しいぞ!?」
「せいぜい死なない程度に帰ってください。それでは」
「不吉なこと言い残して、勝手に帰るなぁぁぁぁぁ!!」

終了