大切な・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
植木と森は、植木の姉がもらったという、ネズミーランドのチケットで、ネズミーランドにいっていた。
 
「やっぱり、休日だから混んでるわね」
 
その行列は、おそらく1時間待ちくらいだろう。考えただけでも気が遠くなる。
 
「まあ、入れるんだからいいじゃねえか」
 
いつもボーっとしている植木にとって、1時間などあっという間だろう。
 
(いいわよね。あんたみたいな性格のやつは)
 
森は、そんな性格ではなく、常に何かをやってないと落ち着かない性格だった。
 
最初の10分くらいはじっとしていたのだが、15分くらいになると、徐々にいらいらしてきた。
 
(あぁー。はやく進まないかしら)
 
いつもは、いらいらしたら植木に怒りをぶつけるのだが、さすがに、今回は二人きりということで、今日一日くらいは楽しく過ごそうと思ったのだ。
 
一方の植木も、いらいらしている雰囲気の森を見ていた。
 
(こいつは、落ち着かんのかな)
 
もともと、性格があまり似てない二人なので、こういうときの状態は、あまり同じではない。
 
だからといって、やはり植木も森と二人きりで過ごせるのが、楽しみだった。
 
時間的には、やはり1時間近くはたっている。
 
「さあ、遊ぶわよ」
 
森は、うさんばらしとばかりに、植木の手をひっぱって、つぎつぎといろんなアトラクションに入っていった。
 
植木は、無理やり森につれてかれているのだが、まったく悪い気はしていなかった。
 
(こういうのも、悪くないかもな)
 
やがて、12時になったので、昼食を食べることになった。
 
森は、嬉しそうな顔をしているのだが、植木は、無表情である。
 
森は、
 
(あたしばっかり楽しんでたから、つまらなかったのかな?)
 
と思い、植木に聞いてみた。
 
「植木、今日、あたしが無理やり連れてってるけど、楽しい?」
 
「ん、楽しい。森といっしょだから」
 
「え!?ななな、なに言ってんのよ」
 
いきなり、大胆なことばを聞いた、森は顔が赤く染まった。
 
(な、なに言ってんの、植木。恥ずかしいじゃない)
 
だからといって、植木に喜んでもらっていることが嬉しかった。
 
一方の植木も、森に言ったことは、決してうそではない。
 
植木にとって、森は自分のいつもそばにいてくれる存在。そして、一番大切な人。
 
さすがに、恥ずかしくて、好きとはいえないが、今日、言うつもりだった。
 
森にとっても、植木は自分を守ってくれる人。そして、一番近くにいたい人。
 
しかし、いつもの自分の性格で、自分から、好きということはできない。
 
植木と同じく、今日、勇気を出して告白するつもりだった。
 
いくらでも、そのチャンスはあったのだが、何も進展がないまま時間は過ぎていく。
 
やがて、8時を回ったところで、森が最後のチャンスとばかりに、
 
観覧車に乗ろう!といった。
 
これには、植木もチャンスだと思い、受託した。
 
ここの観覧車は、日本一の高さを誇り、カップルに人気のスポットだった。
 
二人は、観覧車に乗った。
 
他のアトラクションをまわっていたときとは、まったく違い、シーンとした静寂につつまれている。
 
(言わなきゃ。あたしの気持ち)
 
(今日こそ、言おう。森に好きだと)
 
二人は、言おうと思って何度も挑戦するのだが、やっぱり声に出すことができない。
 
思いは同じなのに、交われない二人。
 
やがて、観覧車は頂上に上っていた。
 
そこから見える景色を見て、森は
 
「うわー。きれい」
 
という、感想を言う。
 
「そうだな」
 
ライトアップされる、アトラクションの数々。
 
その光に照らされて、植木と森は決心した。
 
「あのさ」「あのね」
 
二人は、いっぺんに言ったので、相手が何の用か気になった。
 
「なんだよ、森」
 
「植木こそ、何よ」
 
しばらく続く沈黙。
 
すると、植木が口を開いた。
 
「あのさ、おれ、森に言いたいことがあるんだ」
 
「え!?な、なに?」
 
森は、自分も言おうとしていたが、植木に先を越されたので、驚いた。
 
「お、おれ。そ、その・・・おれは、おまえが・・・」
 
森が、そのことばを聞いて、顔が赤くなってくる。
 
「おまえが、好きだ!」
 
「本当なの!?」
 
森は、自分が思っていたことが、相手も同じだったことに少し笑いがこみ上げた。
 
「あ、あたしも」
 
「え!?森もなのか?」
 
また沈黙。
 
「ぷっ・・・はっはっは」
 
二人は同時に笑い出す。
 
「植木も同じこと思ってたんだ」
 
「森だって同じだろ」
 
二人は、同時に相手の大切な人になった。
 
それと同時に、自分のあるべき場所も見つけた。
 
終了
 
 
あとがき
あぁー。しまった。ミスった。自分でもわかるほどの駄文!
今回はあまりにもミスってしまった。
甘くするつもりが、甘くない。
告白話のつもりが、すこし、最後違う。
これじゃあ、見てくださっている人に迷惑だ。
すいません。
朔夜でした
 

2004年11月6日