約束

「…今、何て言ったの？」
「ん？　…聞こえなかったか？　だから…」
「待って…」
「…何だ？」
「言う前に一つ聞かせて。あんたは、ひょっとしてここにいるってことを後悔してるわけじゃないでしょうね？」
「あぁ。後悔なんかしていないぞ」
「なら、いいわ。…もう一度、言って」
「…明日の早朝…、天界に帰る」
「…それにしても急ね。いきなり」
「……」
「…まぁ、私は止めないわよ。あんたの人生はあんたが決めるんでしょう？　私が止める権利なんてないわよ」
「…そうか。…悪いな」
「…気にしないでよ。後悔は…ないんでしょう？」
「……」
「…ないのよね？」
「…あぁ」
「それを聞いてちょっと安心したわ」
「森…」
「…こっちに心残りがあるままで、向こうに行くなんて後悔だらけの毎日でしょう？　それだったら、天界での生活がつまらないものになっちゃう。でも、植木はそんなことない。だから…精一杯楽しんで来い！」
「あぁ…」
「あっ。そーいえば、今日これから友達と遊ぶ約束があったんだった。…先に帰るね。植木」
「あ、あぁ…」

「森！」
「…何よ」
「…絶対帰ってくるからな！　また、会いに来る」
「…馬鹿。…期待せずに待ってるわよ」
「おう！」