階段
「ねえ、大人への階段ってあると思う?」
「は?」
森がいきなり言い出したことが理解できずに、植木は反応した。
2人は大きな原っぱに来ていた。
「だ・か・ら。大人への階段ってあると思う?」
「なんでそんなことが知りたいんだ?」
森のしつこい質問に、植木は疑問をいだいた。
「だって、みんな大人になるわけでしょ。だから、大人になるまでの階段があるのかなーって思って」
森が、ひそかに疑問に思っていたことだった。
たしかに、人間はみな、大人になっていくが
いつからいつまでが、子供で、いつからが、大人なのかはわからない。
「ないんじゃねえのか」
「え?」
森は、植木がすぐ答えたことにおどろいた。
「だって、大人にだって、子供っぽい性格の大人だっているし、子供みたいな趣味の大人だっているだろ。だから、大人への階段っていうのは、ないんじゃねえかな」
(植木・・・)
確かにいわれてみればそうだ。大人でも、漫画を読むのが好きな人だっているし、ゲームをするのが好きという大人もいる。
それが子供とどう違うのかは、わからない。
「でも・・・」
「ん?」
植木が言葉を続けた。
「大人になったら、仕事をしなきゃいけねえし、家庭を持ったら、家族を養わなきゃいけねえ。そういう、責任感をもって行動するのが、大人じゃねえのかな?」
森はびっくりした。
いつもは、マイペースにすごしている植木が、こんなことを言うとは思わなかった。
「あたしはね、思うの」
「ん?何だ?」
「大人っていうのは、やっぱり自分の家族や、会社でがんばることが1番大切でしょ。だから、大人っていうのは、自分で『わたしは大人になったんだ』っていう自覚をしたときだと思うの」
植木はその話を聞いて、納得した。
大人への階段はあるのかもしれない。
だが、そんなものにこだわらないで、じぶんがやりたいことをやり抜けば、
きっと、大人への階段を駆け上がれるかもしれない。
そんな気がする。
あとがき
朔夜です。今回は、恋愛系の話ではなく、大人への疑問ということにしてみました。
今回は、けっこううまくいきました。
甘くはありませんが、みなさんも、夢を持って生きていきましょう。
以上、朔夜でした!!!!
2004年12月7日