時に涙とは女の最強の武器である……。

こういう言葉がある。

 

パシリですか?

 

(うっとおしいなぁ……)

 今の森の心境は、間違いなくこれだった。

 目の前で知らない男子が、自分に話しかけてくる。

 それがあまりにもくだらないし、興味もないことなのに……、男子は気づかないのかドンドンその話題を繰り出してくる。

 まぁ、それが数分だったらまだ許せるものなのだが、すでに昼休みのほとんどが経っているから、うっとおしいと感じるのは決しておかしくない。

 というか、よく話題が尽きないな……と感心してしまうところである。

 だが、少々本当にうっとおしく感じてきた。

 だからこそ、森は一計を案じる……。

「でさ……。……あれ? どうしたの?」

 森の様子がおかしいことに、その男子生徒は気づく。

 しばらくすると……

「うっ……」

 目元に手を押さえ、まるで森が涙を堪えているかのような仕草をする。

 演技だと最初は思ったが、どうやら本当に泣いているようだった。

 当然、理由も分からない男子生徒はパニックに陥っている。

 と、そこへ……

「てめぇ、何してんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 窓を突き破って植木登場。

(出た……)

(お前……どっから来たんだ?)

(っていうか、ここ4階だぞ?)

(愛の力ねー)

 人によって登場の捉え方はバラバラである。

 だが、植木はそんなことはまったく気にしない!

 出てきて早々何をするかと思えば、そのまま勢いをつけて男子生徒の体にぃぃぃぃぃ!ジャブゥゥゥゥ!! 

「いてっ!? い、いきなり何すんだよ!?」

ストレートォォォォォォ!! 

「ちょっ!? 植木! お前、絶対勘違……ブフッ!?」

フックゥゥゥゥゥ!! 

「ゴフッ! ちょ、話を聞けよ!? って、その構えは!?」

そして、とどめのォォォォォォ、デン〇シーロールゥゥゥゥゥゥゥ!!

「ガハッ! 某作品から…パクッてんじゃ…ねぇよ…」ガクッ

 体を大きく仰け反らせながら、男子生徒は見事に吹っ飛んだぁぁぁぁぁぁ!!

 カンカンカンカンッ!! 

「KO!! YOUWIN!」

 机の脚に筆箱を叩いて、クラスメイトが植木の手をグワッ!と上げる。

 以上、格闘技風に実況させていただきました。

 実況は私、朔夜。解説は、クラスメイトの皆さんでした。

 それでは皆さん、ごきげんよう……。

 ……一応言っておくが、ここは学校である。

「大丈夫か? 森。怪我してないか?」

 何事もなかったかのように、森に話しかける植木。

 しかも、カッターシャツになんか赤っぽいものがついているのは気のせいだろうか。

「う、うん。大丈夫……」

 何もかもの元凶が、不安そうに答える。

「本当か? ちょっと見せてみろ」

「だ、大丈夫だってば……。ちょ、ちょっと植木ってば!」

 などとラブコメシーンを繰り広げているように見えるが……。

 実際には、ただ植木が森の手に触れただけである。

(……うわぁ)

(思いっきり騙されてるね)

(何かあの男子生徒がかなりかわいそうに見えるんですけど)

(森さんにあまり関わらないでおこう……)

(いいわよぉ。そのまま……)

 どうやら、若干一名感性が違うようである。

 まぁ、それは置いておこう。

 だが、はっきり分かったことが一つだけある……。

 それは……

(植木は森の……奴隷(パシリ)だ!!)

 と。

 そんなことにまったく気づかない哀れな植木であった……。

 

終われ

 

あとがき

 えっと……まず謝罪。申し訳ないぃぃぃぃ!!

 の、ノリで書いてしまいました! ご、ごめんなさい。

 お、面白くありませんよね? よね?

 ぎゃ、ギャグ描いてみたんですけど、どうでしょうか?

 は、はっきりいって怖いです。感想が。

 はい。