試してみたいこと
「植木!あたし、試してみたいことあるんだ!」
「ふーん。なんだ?」
森の部屋で、勉強を教えてもらっているとき、森が話したことがすべての始まりだった。
「植木、ぶりっ子ポーズしてくれない?」
「は?な、なんでおれが・・・」
森がいった言葉が、理解できない植木。
まず、男がぶりっ子ポーズをするわけが無い。
「ね。お願い。この通りだからさ」
しつこく聞いてくる森に、植木は疑問をいだいた。
「なんか意味あんのか?そんなことして・・・」
森はその言葉に、言葉をつまらせた。
ぶりっ子ポーズ、それは、森の能力の限定条件。
森は、一度でいいから、植木に自分の能力を使わせたかったのだ。
その理由は、メガネ好きでもいいから、植木の赤く染まった顔が見たいからと、
自分を見て、恥ずかしそうにしている植木を見て見たいからだ。
すっかり、植木は森の限定条件などすっかり忘れている。
そのため、何度も森に頼まれたため、断れなくなった。
もともと、森のお願いはあまり断らないのだが、さすがにぶりっ子ポーズだけは恥ずかしかった。
しかし、一度だけだというので、やることにした。
「じゃ、じゃあ、やるぞ」
「うん」
とても、面白そうに森が見つめている。
(くっそー。森じゃなかったら絶対に断ってるに・・・)
そう思いながら、植木はぶりっ子ポーズをした。
「こ、これでいいのか?」
「うん。じゃあ・・・」
「?」
森が、立ち上がって、指差したので、疑問に思った。
「相手をメガネ好きに変える能力!」
「あ!」
植木は、やっと思い出した。
ぶりっ子ポーズが限定条件だということを。
しかし、ときすでに遅し。
メガネを見て、顔が赤くなってしまう。
(思ったよりも、効力が強いんだな)
心の中では冷静にしていながらも、実際には、メガネのほうに目線がいってしまう。
森が、メガネを横に振ると、手が自然にそっちへ行ってしまう。
(すげえな。この能力)
自分の能力よりも、すごいかもしれない。
植木はそんなことを思っていた。
一方の森は、自分のほうに視線がまったく向かず、メガネのほうに視線が向いているので、ちょっと、いらついた。
森は、それまで左右に振っていたメガネを自分にかけた。
とたんに、植木と視線が合う。
自分でした行動にもかかわらず、森は顔が赤くなる。
植木も、顔が赤く染まっている。
しばらくそのまま、時間が過ぎる。
すると、森が叫ぶ。
「植木。このメガネがすき?」
「そ、そんなわけないだろ」
しかし、動揺している。
ここで、森は聞いてみたいことを聞いた。
「じゃあさ、メガネとあたし、どっちが好き?」
「え?」
いきなりの質問に、植木は驚いた。
(いま、森。なんていったんだ?)
メガネと森なんて、言わなくてもわかる。
しかし、いざとなると恥ずかしくなる。
「ねえ、どっち?」
「そ、それは・・・」
いつもよりも、森が大胆だ。
「言ってくれなきゃ、わからないじゃない」
「そ、そんなこといわれてもなー」
ここで、森といったら、告白と同じになってしまう。
だからといって、このままにしておけば、森が気を損ねてしまう。
「植木、このメガネ好きなんだよね?」
「う!そ、そんなわけない」
「じゃあさ、あたしとこのメガネのどっちが大事?答えなきゃこのメガネ折るよ」
「え!」
自分がメガネ好きになっているので、メガネを折られるだけでもいやだろう。
「ねえ、はやく答えてよ」
「あ、あのな・・・」
植木は、答えることができない。
ついに、待つことができなくなった森が強行手段に出た。
「じゃあ、折る!」
すると、メガネに手をかけた。
すると、植木は反射的に、森に近づき、抱きしめた。
「な、なによ。言いたいことあるの?」
さすがに、植木に抱きしめられるとは思っていなかったのか、森は顔が赤くなる。
しかし、植木が沈黙をしたままである。
(はぁー。やっぱり、だめか・・・。植木の本当の思いを知りたかったんだけどね・・・こうやって抱きしめてくれてるのも、能力のせいなんだよね・・・)
すると、森は、抱きしめられながら、自分のメガネをとって後ろに投げた。
(植木は、メガネ好きになってるから、メガネを守るために、あたしを抱きしめたんだよね。だからさ、こうやって、メガネを遠くに投げたら・・・って、え?)
メガネを後ろに投げれば、植木は自分を抱きしめる手を離して、メガネのほうにいくと思っていた。
しかし、結果は違った。
植木の抱きしめる手が強くなる。
完全に密着して、逃げ出すこともできない。
「森・・・」
「な、なに?」
自分から、仕掛けたのに、いつの間にか立場が逆転している。
「おれは、メガネ好きになっても、おまえがなによりも一番のことはかわらないから・・・」
「え?」
「おまえと、メガネなんて比べる意味も無いだろ。だって、おれにとって、森は何よりも大切な存在なんだから・・・」
「植木・・・」
初めてかもしれない。植木の本音を聞いたのは。
こう聞くと、自分は愛されているんだなと思う。
「植木、あたしも何よりも植木が好き。あたしも植木と何かを比べることなんてできないよ」
どんなに本音を隠したって、愛してくれていることはわかっている。
どんなに恥ずかしがったって、それは愛されている証拠。
愛されていること。すなわち、相手に必要とされているということ。
終了
あとがき
終わり方微妙ですねー。またまたラブラブものかいてしまいました。
はっきりいって、甘すぎですね。
植木←森みたいな感じですね。
森攻めは、久しぶりにかきましたよ。
以上、朔夜でした。
2004年12月7日