風邪も悪くないかも・・・










植木はいつもと同じ時刻に、学校に到着した。

今日は、森は休みだということを、朝、森本人からの電話で聞いた。

「昨日、風邪引いちゃって、それで今日学校休むから。ごめんね。学校に行けなくて」

二人は、中学1年のときの終わりから付き合っていた。

それから、毎日一緒に学校に登校していたのだ。

学校では、一番のバカップルといわれている二人だった。(笑

植木にとって、森のいない学校などひまで仕方ない。

だから、授業にも力が入らなかった。

やがて、学校が終わったので、森の家に見舞いに行くことにした。

(森のやつ、大丈夫かな?)

どうせ行くならということで、途中にある薬局で、ビッ○スドロップを買った。

森の家の前に着くと、森の父親にあった。

「あ、植木くん。お見舞いに来てくれたのかい?」

「ええ。森は大丈夫なんですか?」

「あいなら、熱がちょっとひどくて、部屋で寝込んでるよ」

「そうですか・・・」

植木は、森の家に入ろうとした。

すると、森の父が

「あ、そういえば、これからわたしは出かけなきゃいけないんだけど、帰ってくるまで看病していてくれるかな?」

「ええ、いいですよ。今日、暇ですから」

ふつう、熱を出して娘が寝込んでいるのに、出かける親がいるかと植木は思った。

植木は、森の家の中に入った。

森の部屋は2階だ。

森の部屋に入った経験はあまりなかったので、少し緊張した。

森の部屋のドアノブに手をかける。

森は、ベッドで寝ていた。

顔はすこし赤くて、つらそうだった。

(森、つらそうだな・・・)

森の手をしっかりとにぎって、森が起きるのを待った。


森は、片方の手が、握られている感触がしているのに、気がついた。

(あったかい。だれの手かな・・・)

森は静かに瞼を上げた。

そこにいたのは、植木だった。

「森、起きたのか?」

「うん。植木、お見舞いに来てくれたの?」

「ああ、森、大丈夫か?」

「うん。ありがと。心配してくれて」

森は体を起こそうとするが、植木に止められた。

「あまり動かないほうがいいんだろ。姉ちゃんに聞いた。」

「でも・・・」

「おまえに、無理して欲しくない」

「うん・・・」

植木の優しいことばを聞いて、森はいうことを聞いた。

それからは、二人きりで話していた。

植木は、おかゆを作ってくれたし(おいしかった)、氷枕を取り替えてくれた。

「じゃあ、そろそろおれ帰らなきゃいけないから」

「うん。じゃあ、また明日ね」

「あ、それと・・・」

「?」

すると、植木は不意打ちに森と唇を合わせた。

(え?)

植木は、森の口の中に、舌を入れた。

「んっ、んっ、ん?」

森は、ディープキスをされるかと思ったのだが、口の中に、なにやらゴツゴツしたものが入ってくる感触がした。

(これって・・・)

そう、それは、あのビッ○スドロップだった。

しばらくして、植木は唇を離した。

「じゃあ、お大事にな」

「植木、ありがと」

植木は、帰っていった。

植木は帰り道、一人物思いにふけていた。

(森のやつ、いやがらなかったな。今度は本気でしてみるか。ん、なんか寒気が)

−ハクション−

植木は、森に口移しをしたことでどうやら、風邪も一緒に口移ししてしまったようだ。

次の日、森の家には、植木から、学校を休むという電話が入ったという。

おまけ

「植木のやつ、どうしたのかな?」

風邪だと森は聞いたが、昨日の様子だと、そんな風邪を引いているようには見えなかった。

「ひょっとして、あたしの風邪が移ったのかも」

森は、かえりみちに植木の家に寄った。

どうやら、植木の家は父親が出かけているらしく、植木の家には植木しかいなかった。

「植木、大丈夫?」

「あ、森か?大丈夫だ」

「ひょっとして、あたしの風邪がうつったの?」

「そうかもしれない」

すると、森は植木に近づいた。

「森?」

すると森は、植木の唇に自分の唇を当てた。

「え!?」

「昨日のお返し。あんたは、こうして風邪が移ったんでしょ。これであたしに風邪が移ってもお相子ね」

「森・・・大大大大好きだ!」

「そ、そんなに言わなくてもいいわよ」

次の日、森が風邪を引いた。

また、次の日、植木が風邪を引いた。

そしてまた次の日・・・

二人のバカップルぶりは永遠に続く。

終了



あとがき
甘いですよ。というか、バカップルですね。
それも、バカが何回前につくでしょうね。森からのキスも書いてみたかったですから書いてみました。
これは、ネタがたくさん出てきて困りましたよ。
以上、朔夜でした!

2004年12月7日