「森、今度の日曜日なんか用事あるか?」

「え?別にないけど」

「じゃあさ。つりにいかねえか」

「べつにいいよ」

「じゃあ、駅に集合な」

「うん。わかった」

すると、2人はわかれる。



I like fishing


日曜日になったので、森は、植木に言われたとおり、駅のホームで、植木を待っていた。

「遅いなー。植木・・・」

考えても見れば、釣りに行くのに、わざわざ電車を使うなんで、よっぽど遠くに行くのかと思う、森だった。

「まもなく、2番ホームに電車が参ります。」

「あぁー。もう、電車来ちゃうよ」

すると、かなり離れた、階段の入り口に植木が来たのが見えた。

(あいつ、あとで、死刑!)

森は、ひそかに、こぶしをにぎった。

とはいっても、もうすでに、電車は来ている。このままでは間に合わないが、

植木は違う。

「電光石火」

ふつうの日常で、神器を使い、ようやく、森が入った電車の入り口に駆け込んだ。

ドアが閉まり、植木がほっと胸をなでおろすと、

「うーえーきー!誘っておいて遅れてくるなんて、どういうことかわかってるんでしょうね!」

もうすでに、森は、怒りゲージMAX(笑)である。

「ちょ、ちょっと待て。これには理由が」

「どうせ、寝坊してきたとかなんでしょ。言い訳はいいのよ!」

すると、森は、植木の顔にパンチした。

「いってー」

「遅れてきた罰よ」

しばらくたって、席が空いて、二人で向かい合わせに座っていたが、ふと森が疑問に思った。

「ところで、今日はどこに行くの?」

植木は、思い出したように言う。

「ああ、いくところは・・・」

「え?今、なんて言ったの?」

森は、植木がいった場所に耳を疑う。

「だ・か・ら。名古屋港だって」

「な、名古屋ーーー!?」

一応おぼえておこう。森たちが出発したのは東京駅である。名古屋に着くには、ゆうに2時間はかかる。

「あ、あんた、今日東京に帰ってこれるの?」

「あ、無理かも・・・」

「ちょ、ちょっと待ってよ。なら、帰れなかったらどうするのよ」

「そこらへんで休むしかねえだろ」

「そ、そこらへんって、風邪ひくじゃない!」

「なら、どこかに2人で泊まったほうがいいのか?」

「え!?そ、それは・・・」

「どうなんだよ」

「そ、それでもいいけど・・・」

植木は、一瞬森の言ったことに耳を疑う。いくらなんでも、男と2人で過ごすのは、だめだというだろう。

いや、言わないほうがおかしい。

それを森は受託したのだ。

「いいのか?2人で、どこかに泊まっても」

一方の森は、自分の言ったことがあまりにも恥ずかしくて、顔が赤くなっていた。

(あ、あたし、なに言ってんだろ。いくら植木でも、2人だけで過ごすなんて)

「いいんだな!」

「う、うん」

森は、再び後悔した。植木の勢いに押されて、了承してしまった、が、今になって断ることもできない。

電車の中では、2人は静かだった。

植木は、

(おれは確かに、森と2人で過ごしたいけど、わざと時間を延ばして、そういう風にするのはいやだ。日帰りを目的にしよう)

森は、

(植木と2人で過ごすのはそんなにいやじゃないけど、やっぱり恥ずかしいよ。釣りをし始めたら、早く終わらせるようにしないと)

2人の思っていることは同じだった。

とりあえず、2人は、日帰りを目標にして釣りをすることにした。

名古屋港について、2人は釣りをし始めた。

植木は、手際がよいのだが、森は、やはり慣れていなかったので、植木が、付け方を教えることになった。

釣りをし始めて、1時間。いっこうにつれる気配がない。

(ほんとうにここで、釣れるのかなー。植木のやつ、ここまで来て何もつれなかったら、金がもったいないわよ)

そう思いながら、釣りをしている森。

頭の中から、日帰りのことはすっかり消えている。

一方の植木も、

(あれ?おかしいな?今月は釣れるって言ってたのにな。今日は不作なのかな。でもここまで来たんだから絶対釣ってやる)

やっぱり植木も日帰りのことを忘れ、つりに熱中していた。

それからどれくらい時間がたっただろうか。かすかに森の竿が揺れたのに気がついた。

「森、それ引っぱれ」

「え!?これ?釣れてるの?」

「わかんねえけど、いま確かにゆれた」

森が引っぱってみると、たしかに感触はあった。

けっこう重い。

「がんばれ、森」

「これ、けっこう大きいよ」

魚のあまりの重さに森は体制が崩れそうになるが、後ろで植木が支えた。

「あ、ありがとう」

「森、がんばれよ」

「うん」

そんなこともあってか、森は思い切って引っぱり、魚を釣り上げた。

「けっこう大物だなー。森すげえな」

「植木のおかげだよ」

しばらくすると、森がある異変に気がついた。

「あれ、そういえば、今何時?」

気づいたときには、真っ暗だった。

「あ、7時!?いつのまに」

「今からだと間に合うの?」

「た、たぶん間に合わねえと思う」

「ええー!!!」

日帰りを目標としていたはずなのに、すっかりその時刻を過ぎてしまった。

「本当に、どこかに泊まるのか?」

「だって、しかたないでしょ。野宿はいやだし」

「そ、そうだな・・・」

2人は素直にあきらめ、植木が携帯で、泊まれる場所を探す。

1件だけが、了承してくれた。

「じゃ、行くか。」

「う、うん」

こうして、2人は、ホテルで、一夜を過ごすことになった。

またその話は、他の話で・・・

終了



あとがき
今回は、釣りでのアクシデントを書いてみました。
東京から、名古屋港まで行くやつは、中学生では絶対にいません。(笑)
まあ、植木たちだからありえるって思ってね
この話の続きは、二次小説のほうにおきたいと思います。
続きは、もうちょっと待ってね
以上、朔夜でしたー

2004年12月7日