意地っ張り












あたしは、いま困っていることがある。

それは・・・

「森ー!」

そう、植木のことが好きになってしまったことだ。

植木のことが気になり始めたのは、3ヶ月前くらい。

最初は興味本意だったんだけど、時がたつにつれて、どんどん違う意味で、気になり始めたの。

今になっては、もう植木に話しかけられるだけで幸せなほど、好き。

でも、この気持ちを伝えようとするのは、怖いの。

植木は、いつも『お前を守ってやる』とか言ってくれるんだけど、あたしのことはどう思ってるかはわからないの。

だから、あたしは断られるのがとっても怖いの。

多分、あたしは植木以外の人は好きになれないと思う。

だから、断られるのが怖いんだ。

それに、あたしは意地っ張りだから、自分から言うのは恥ずかしいの。

こんなとき、自分の性格がいやになる。

でも、そんなときにチャンスが訪れた。

それは、公園で掃除をしているときだった。

いつも、朝に植木に呼び出されて、掃除をしているんだけど、今回はいつもと違う心情で言った。

それは、植木に好きな人がいるかってことを知りたかったから。

植木は、先に公園にいて、掃除をしていた。

「おう、森。こっち来て手伝ってくれ。」

植木に話しかけられるだけで、ドキッとする。

(あぁー。こんなに好きなら好きって言えばいいのにね)

森は自分の性格にため息をつく。

しばらく、静かに掃除をしていたけど、ついに気になって聞いてみた。

「ねえ。植木って好きな人いるの」

植木は驚いたようにこちらを向いた。

(あ、やっぱりいるんだ)

植木の様子を見ただけで、好きな人がいることがわかる。

「そんなことが知りたいのか」

「いや、だって知りたいじゃん」

植木のことが好きなんだからさ。

もし、あたしだったらって、考えたら勇気を出そうって思うし。

「たしかに、いるけど」

森の思ったとおり、植木には好きな人がいた。

「植木は、その子に嫌われてるのが、いやじゃないの?」

植木は、女子に好かれる才が消えている。

女子に相手をされるのは、森と鈴子くらいだ。

「だって、おれ、嫌われてたってかまわないし、それに、おれが好きなのはそいつだけだから」

植木も、自分と同じように、一人だけが好きなようだ。

(いいなー。その人、植木にこんなにも好かれてて)

森は、とってもうらやましかった。

たとえ、嫌われていても好きなんて、うらやましい。

多分、自分なんて相手にされていないような気がする。

「んで、どうなんだ森。」

「え?」

「だから、お前はどうなんだよ。さっきから聞いてんだろ」

自分で考えていたため、すっかり植木の言ったことは聞いていなかった。

「あ、あたし!?あ、あたしだって、好きな人はいるわよ」

自分の目線の先にいる人がその人だってことに、植木は気づいてるかはわからない。

「そいつは、どんなやつなんだ?」

なぜか、いつもすぐに質問が途切れる植木が今回は食って掛かってきた。

(植木、なんかいつもと様子が違うわね。どうかしたのかしら)

植木が真剣な目で聞いてくるので、しぶしぶ言った。

「えっと、その人はね、とっても頼りがいがあって、いつも相手にしてくれて、それで、いつまでもそばにいたい人」

気のせいか、植木の顔が徐々に険しくなっていく。

(あ、あたし。なんかへんなこと言ったかな?)

「そうか・・・」

なにやら、植木の目が決心したような目になっている。

すると、突然植木が抱きしめてきた。

(う、植木!?)

あまりのことに、心臓の鼓動がとても早くなり、顔が真っ赤になった。

前に押し戻そうとするが、腕がきつくなるばかりなので、抵抗はやめた。

「・・・だめなのか?」

「え?」

植木の小さい一言が、ちゃんと聞こえなかった。

「おれが、そいつの代わりじゃだめなのか?」

(え?え?どういうこと?そいつの代わりって、え!?まさか、植木・・・)

森は、必死に自分の頭で考えていた。

「おれが好きなのは、おまえだ。おれのそばにいて欲しいのは森じゃなきゃいやなんだ。」

植木が自分を好きだったこと。こんなに想ってくれていたことが自分で気づけなかった。

(植木、ゴメンね。好きなのはあたしだけだと思ってた。)

「あたしもいいたいことがあるの・・・」

森は、決心をした。

「あたしも植木のことが好き」

意地という硬い殻

そこから抜け出すために、みなは努力する。

努力をして、抜け出した瞬間が幸せのとき。

意地という殻は、本当は柔らかいのかもしれない。

終了



あとがき
中途半端な終わり方でしたな。まあ、これくらいでいいでしょうか。
今回は、森視点で書いてみましたが、どうでしたでしょう。
最近、こういう視点系が多いですが、どうでしょうか。
あまり、甘くないし・・・
まあ、がんばって書きます。
以上、朔夜でしたー!

2004年12月7日