行き着いた先は、社の一角。
 木が現れ杭が現れ、杭は木を貫くは何やら・・・。
 俺も以前体験したが、これが能力者バトル、
「・・・・・・・・・・・・」
 これは戦場か何かか・・・?

  第十話 才能さえあれば

 今回も俺は傍観者、と言うより誰も俺の存在に気付かない。あ、言っとくが影が薄いとかそう言う意味じゃないぞ(コイツが作る話の主人公は基本として濃い筈なのに周りに劣ってしまうのだから)?
 飛んでくる杭を避けながら二人の戦いを見る。
 ゴミを木に変える能力者・植木耕助、陸上部の秘密兵器とか言っていたな。
 対する足立とやらは綿を杭に変える能力者、走りの才を手に入れるべく交戦中。
「植木!?」
 石段から人が駆け上がる。
 青髪の少女。剣道五段少女!再び合間見えるとは・・・運命とは時に恐ろしいものだな・・・。
「な・・・何が起き・・・」
「足立とやらが植木に戦いを申し込んだ、それだけの事だ。」
「!?」
 少女は俺に気付いた。近くにいたのに気配を感じれなかったのか。少女は俺を警戒するかのように睨みつける。
「安心しろ、五段の君。能力者ではあるが、疲れた奴と戦うほど卑怯者ではない。俺の名前は神剣析羅(かばやさくら)、先程貴校の剣道部と練習試合をしていた者だ。」
 何か、初めて名乗った気がする・・・。
(! コイツも能力者!?てか何よ「五段の君」って・・・ッ)
「五段の者をそう呼んで何が悪い?」
 先日のバトルで「読心の才」と言うのを手に入れたらしく。さらっと彼女が考えた疑問に答えた。
 彼女は何かを考えたのか、植木の方に走る。
「部外者はすっこんでろ!!!」
「え?」
 彼女の周りに杭の檻が出来た、確かに戦いの最中に干渉されるのは俺も気に食わん。
 その後足立は自分の事を話し始めた。
「“才能”さえありゃぁ!バカみたいに努力する必要もないんだからな!!」
「!!」
 コイツ・・・、努力が「バカみたい」だと・・・!?ふざけるな、努力は何時かは実となる事を・・・解ってないのか!?
 イヤ、此処で行動に移しても何もない。この程度の相手、直接俺が手を出す必要もない。
 むしろ植木でも勝てる見込みがあるからな・・・

 結果、植木の機転が効いた御陰で足立は気絶。お望みの走りの才を手に入れる事無く、奴の戦いは終わった。
「勝てたようだな植木。」
「あ!何でアンタ能力使わなかったのよ!?」
「1対1(サシ)で勝負の中の干渉は好まんからな。第一卑怯臭い。」
 対等に勝負する事が俺の信条だからな。
「析羅ー、防具とか色々取りに行ってやったぞー。」
 水寿(みすず)が石段を小走りで駆け上がる。
「あぁ、すまないな。」
 そう言って俺は水寿に近寄ろうとしたが、少し足を止め、二人を見る。
「五段の君、いつか手合わせ願おう。」
 そう言って立ち去った。
「五段の君って何だ?」
「アイツ・・・もしかしてあの時の嘘を本気にしてるの!?」
 二人は呆れながら俺を見たのは知らない。

 何時かと言っても、それなりにコンディションが整っている時だがな・・・。

  トゥービーコンティニュー・・・