とうとうこの話も20話目・・・長いなぁ。
 半強制的に能力を貰い、生徒会の面々と行動を共にし、バイト・・・
 ハイドンにスカウトされるわ湯木邑(ゆきむら)の熱烈アプローチから逃げる日々、内職・・・
 で、真久利(まくり)の弟だと理解し、世間はもう夏休みに突入、宿題・・・
 久し振りに外に出たら迷子になって(遠目がちだが)植木と再会して、今、俺の近くで・・・
 ・・・・・・未確認生物が牛丼食ってます。

  第二十話 視力検査程度の星

「あー満腹!!!マズかったケド」
 天界獣は腹を膨らませてゲップをする。不味いなら食うな。ていうか素手で食うか。
 とりあえず食事をしている。俺は前以って作っておいた弁当を広げて食事を済ます。二人は野吉屋の牛丼を頬張っていた。

 数十分前・・・(アレッシオを倒し、天界獣を仲間にしたその後)。
「植木!」
「んぁ?」
「久し振りだな、俺の事覚えておるか?」
 植木は腕組んで考える。
 数秒後(と言うか殆ど即答)
「誰?」
 やっぱり忘れてる!!!
 解ってはいた、解ってはいたが!少しぐらい期待に応えても良いだろう!!貴様!!!
「大丈夫か、お前?」
「・・・お前の連れを五段の君と称していた神剣析羅(かばやさくら)だ、覚えておけ!!」
 半泣きになりつつも微妙な自己紹介をする。
「あぁ、道着の学ラン男か」
 どんな覚え方だよ、ソレ。
 デカイ天界獣は俺を掴む。10メートルぐらい上に上がった。
「お前・・・天界人だろ!」
 バレとる。
「そうだが?」
 そう言えば目は天界人のレベルを測るモノらしいな、植木は二つ目が光った。俺はどうだろう。
 そう思って奴の眼を見ると。
 0.5
 え?何だソレって??だって・・・一つの目の半分ぐらいしか赤く光ってないんですもの。
「何だコイツは?」
「深層的に自覚を要するわけだから・・・深層部分で未だ自覚をしていないって事じゃないか?」
「コースケよりも下・・・敢えて言うなれば、0.5ツ星だな。」
 0.5!!?
 自分の視力と同じ・・・
 やっぱり落ち込んだ。
「とりあえず飯食ったら集会所に戻るかぁ。」
「!? この辺りに建物があるのか!?」
「? あるけど・・・」
「なら其処に案内してくれ!俺さっきから道に迷っていたんだ!!」
「メシ食ってからでいい?」
「いいとも!」
 ・・・・・・
「別に某番組とかけて言った訳じゃ、ないからな・・・?」
「わかってるよ。」

 で、それから・・・
 森?を彷徨って数分。
「此処が、集会所?」
「うん」
 煙突がある珍しい小屋。誰かの別荘か・・・?
 でも、何処か・・・
 寒々しい感じがする建物だ・・・。

 とりあえずリビングに案内される。其処には色モノな集団がいた。
 はなわみたいなトンガリ頭のマッチョ、ガンマンみたいな小学生、もう人かどうかを疑う風貌の男、長いコック棒をかぶった長髪男、まともと言えそうなのは長髪の女性と糸目の餓鬼だけだった。
「ずいぶん変わった集団と行動を共にしているんだな、お前・・・」
「ん?コイツ・・・誰ッスか?植木くん。」
 俺の事?
「あぁ・・・神剣析羅、道に迷ってしまって・・・帰り道を聞こうと案内して貰った。」
 照れ臭そうに頬を掻きながらそう言うと、周りの空気が一変した。
 少し背筋に悪寒が走る。
「?どうした・・・ !!」
 それ以上の寒気みたいな殺気を感じる。この感覚、何処かで・・・
「久し振りだね、神剣君。」
「!」
 この声は・・・
 殺気と言い、声と言い、背後にいる者が誰なのかは容易に判断できる。
「ロベルト・ハイドン・・・!!」
「十団へようこそ」
 な!? 此処が・・・十団の集会所!!?
「ねぇ・・・もう一度聞いて良いかい?」
 俺もある程度殺気を放つ。殺気を纏う気当たりは得意だ。
「何をだ?」
 保て、俺の平常心。ハイドンは俺の心情を悟っているのか、ニヤリと言った感じに笑う。
「こっちに来るか、否かを、ね・・・」

  トゥービーコンティニュー・・