第二十一話 1VS.8の戦い

「さて、神剣(かばや)君。君には今二つの選択肢がある。」
 ハイドンは右手を前に出して人差し指と中指以外は指を曲げ、「2」を示す。
「一つは僕達の仲間になって生き続ける。コレが賢い選択だ。」
 俺の周りの空気が徐々に冷ややかなものになる。
 嫌な空気だ・・・。
 駄目だ、飲まれるな。「もう一つは誘いを断って自分の家族を殺されるか。今でも十分生活を養う事は可能だけど・・・家族を殺される事によって君は精神的に壊れる。」
 惑わされるな、俺!!
 しばらくの間、嫌な沈黙が続く。
「さぁ、どうする・・・?」
「・・・・・・」
 手元には殆ど液体となり得る物がない。家族を盾に取られているし・・・、どうする? どうするつもりだ、俺!!?
「真ん中」
「伊○ず○ん・・・?」
 其処にツッコミを入れるな!!
「誘いは断る。そして家族も殺させない。能力が使えなくとも俺には体術がある!一寸やそっとじゃ殺されない!!」
 拳を固めて俺は言う。
 にしても・・・どうしてこの作者はいつもこう言った見せ場に苦しみ続けるんだろうか。
「そうか、残念だ。」
 言葉の一つ一つに冷たい棘を感じる。
 飲まれるな、飲まれるな!こんな殺気の一つや二つ、何回も感じているだろう。対術面では子供の頃から叩き付けられている俺の方が圧倒的に有利、接近戦に持ち込めば、勝てる!!
「!」
 別の殺気を感じた。すかさず俺は掌の汗を刀に変えて応戦する。
「ほう・・・我が刃を受け止めるとは、なかなかやるな。」
 !まただ!!
 再び死角から来る攻撃を防ぐ。
「僕が出る幕もない。結構溜まってるだろうしね、君達に任せるよ。」
 ロベルトは連中に後を任せて二階へ続く階段を進む。
「クソ・・・ッ」
 次から次へ、他方向から・・・しかも死角へ攻撃をする。1対8、コレじゃ圧倒的に不利!1
 しかも一部は女子だし!餓鬼だし!1虐めになるから攻撃をしないのが仇になった!!!
「何でウチ達には攻撃しないんですか!?」
「小学生攻撃してたら大人気ないだろうが!!」
 俺は正直に答えた。
 一瞬、帽子女が人とは到底思えない奇妙な顔をしていた。
「ヒドイ・・・ウチこれでも中二です、どうせチビです・・・。」
「何ィー!!!?俺と同い年!?」
 あ、よく考えたら能力者=12〜15歳じゃん。て事は全員俺と年端は変わらない・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・
 一部、絶対違うと思う・・・!!
 そんな事を薄ぼんやりと考えながら俺は攻撃を防いだり返したりしていた。
「お前、ちゃんと応戦しろよ!!」
「良いのか?」
 はなわ頭の男は突如吐血した。
「お前、汗掻いただろ?俺の能力は液体を道具に変える訳だからこうやって汗を掻かせて付いてる汗を針みたいな突きの道具で全身を突き刺したんだ。」
 自分で言うのもなんだが、俺はコレでも計算して行動をとるからな。
「ふざけやがって・・・!」
 と、言っても 相手に疲労を蓄積させる前に、俺の方がダウンしそうだ・・・。
 俺が気絶すれば、俺の戦いは終わる・・・。
 そうするとアイツは、天界へ戻らなければならない・・・。
「させてたまるか・・・」
 折角会えた身内だぞ?
 物の数ヶ月で別れを告げてたまるものか。
「絶対能力者のままで帰ってやる・・・!!」
 アイツの気持ちを汲んでやる・・・!
「この場を、切り抜けてなぁ・・・!!!」
 待ってろよ、真久利(まくり)・・・!!

  トゥービーコンティニュー・・・