そうするとアイツは、天界へ戻らなければならない・・・。
「させてたまるか・・・」
 折角会えた身内だぞ?
 物の数ヶ月で別れを告げてたまるものか。
「絶対能力者のままで帰ってやる・・・!!」
 アイツの気持ちを汲んでやる・・・!
「この場を、切り抜けてなぁ・・・!!!」
 待ってろよ、真久利(まくり)・・・!!
「オォオォォッ!!!」

  第二十二話 逃亡は敗北ではない

 俺は圧倒的不利な所に突入する。
「と、見せかけて」
 踵を返して入り口へ一直線。
「逃げた!?」
(ズルッ!!)
 いーや、俺は「能力者のままで帰ってやる」、「この場を切り抜ける」とは言ったが「戦って」なんて一言も言ってない。
「逃げる事もまた勇気!!」
 いきがって死ぬより何と言われようが逃げる事も覚えるべき。「三十六計逃げるに如かず」ってね。

 と、出口を抜けて森の中に来たはいいが。
「迷った・・・」
 また自分が極度の方向音痴だという事を忘れていた。
「地図、見せてもらってなかったからなぁ・・・」
「また迷ったのか?」
「うぉあ!?」
 急に現れたソイツに俺は滅茶苦茶に反応する。振り向いたら顔見知りの男がいた。
 植木耕助
「・・・な、何だ植木か・・・吃驚させるなよ」
 否、自分で勝手に驚いているだけだが。
「ココからよく見える道を真っ直ぐに行くと町まで行けるぞ。」
 親切に道を教えてくれた。
「?お前と俺は言わば敵だろう?何故助ける??」
「お前ただ道に迷っただけだろう?」
 うぐ。
「ソレに元々オレはアイツ等ぶっ倒す為に入団したんだ。敵でも何でもないだろ」
 ほぉー・・・確かに、な。
「それより早く森を抜けた方が良いんじゃないか?もうすぐ来るぞ。」
「あっ、忝い!いつかまた会おうぞ植木!!」
 そう言い残して俺は早足で森を抜けた。

 それから数十分
 何とか森を抜け、街中へ戻った。
 そしてようやく我が家(総合武術神剣道場)の門前まで来た。
「や、やっと着いた・・・」
 何かに俺は反応した。
 ほんの僅かな、殺気・・・・・・。
「・・・気のせい、か?」
 今日一日でドッと疲れが溜まったからな、其れもあるだろう。
 宿題も内職も終わったし、今日はゆっくり休むとしよう。

 しかし家から数百メートル先の所で俺を狙っている何者かがいると言う事は、

 未だ 知る由も  ない・・・。

  トゥービーコンティニュー・・・