※二十二話よりも数日後の話です。と言うかそう思って下さい。

 人の命を狙う影は
 少しずつ、少しずつ
 傍を歩み始めていた・・・。

  第二十三話 一時休戦

 そうとは知らずに俺は、
 部屋で精神統一をしていた。
 だってやる事ないし。
「何もしないとは暇なものだからな・・・」
「十代前半とは到底思えないセリフだな、それ」
 勝手に部屋の戸を開けてやってきたは一人の男女。名は白冷彪音(はくりょうあやね)、小学時代の誼。言うなれば「幼馴染」(ちなみに前回「びゃくれい」と読んだのに今回は「はくりょう」なのは作者が「こっちの方が韻が良いな。」と言う事で突如変更。そう言う事は登場する前にやってくれ)。
「何の用だ貴様は」
 そう言うと彪音はニコッと笑い(可愛くも愛おしいとも思わない笑顔だが)一枚の紙とハサミを出した。
 チョキチョキとハサミは紙を人の姿に模り切っていく。
 紙の人形みたいなのが現れた。
「ほぉ・・・お前にしてはよく出来ているな。」
 少し感心をし、人形に心なしか触れてみる。
 すると彪音の口元が少し綻んだ。
 「ニッコリ」と言うよりは「ニヤリ」に近かったが・・・・・・。
「成立」
「は?」
 紙製の人形は光を帯びる。
「紙人形を影分身に変える能力ぁっ!!」
 激しい光から一つの影が現れる。
 見た事ある、人影・・・
 と言うか
「・・・俺?」
 試しに右手を挙げてみる。其処にいる俺は左手を上げる。
 色々行動をとってみる。相手も同時に行動をとる。
「・・・・・・・・・・・・」
 一応睨んでみる。
「硝子か?」
 其処の俺は(彪音もそうだが)「横○へ○〜○ち○!」みたいにコケそうになった。
「何でそうなるんだよ!」
「俺だ俺!神剣析羅(かばやさくら)!!」
「うおぉ!?硝子の俺が喋った!!」
「「違う!!!」」
 二人揃って俺にツッコミを入れる。
「さっき作った紙人形でアンタの分身を作ったの!」
「だから此処にいる俺は神剣析羅ではあるが、分身だ。」
 あ、そうなの。
「お前能力者だったんだ。」
(ツッコミを入れる所が違う!!)
「そうだよ、で、その能力者が来たって事は・・・どう言う事か判るよな?」
「・・・部屋で暴れては仕方がないからな、場所を変えよう。」

 来たのは、近くの土手道。この辺りは人気が少なく、能力を使うには丁度良い。
「んじゃ行くよ!紙人形を影分身に、変える能力ぁッ!!」
 紙人形からは先程の俺と水寿(みすず)、紋火(あやか)、信(まこと)の姿が現れた。
「増えてる!!」
「アンタだけじゃないから。影分身にする相手の指紋が付いてないと能力が使えないけど、影分身はアタイに従順だし、なかなか使えるのよ。」
 奴隷か・・・、何か嫌だな。
「てな訳で、行け!分身達!!」
 分身四人は俺に襲い掛かる。
「どうする?相手は数少ない友人だし・・・、! そうか」
 俺は容赦なく四人を打ち消す。
「な・・・」
「組み手と思えばいいんだな」
 組み手なら思いっきりやれるし。最近疲れていたしストレス解消にも繋がるだろう。
「そうか、なら・・・」
 彪音は落ちた紙人形を拾い上げると、再び影分身に変えた。
「紙人形を影分身に変える能力・・・レベル2!!」
 レベル・・・2!?
 紙人形の俺と俺は片手を鎖で繋がられた。鎖と言っても、透明で軽い、鎖とは到底思えない代物だが。
「能力ってのは応用力が聞いた時、新たに一つ超能力が付属される、それがレベル2って言うんだよ!」
「何!?」
 あぁ、そう言えば水寿って能力使うには「相手の攻撃により100cc以上自分の血を流す」と言う限定条件があって、戦う度に大怪我にならざるを得ないけど、一回瞬時で本復する時があったな。アレは奴の「レベル2」なのか。
「アタイのレベル2は“影分身と本人の痛みを共有する”!つまり分身を攻撃しても自分にダメージが来るんだよ!!」
 うわ、ソレはキツイ。
 が
「面白そうだな、なら話は簡単だ。ソイツにダメージを与えずお前を殴る!!」
「・・・ッ!!良いね、次の一撃で決めるよ。」
 二人の間に殺気が拮抗する。
 互いの緊張が高まる。
「「いくぞ!!!」」
 液体から刀を作り上げ、分身の前方を駆ける。
 抜けるか、逝くか。あと少し・・・
「そこまでじゃ!!」
「「!?」」
 刀は液体に、分身は紙人形に、お互い元の姿に戻った。
「!? 何が起きた・・・!?」
「其処までじゃ二人とも」
 右方向に声があった。俺達は声の方向に顔を向ける。
 アフロ、グラサン、露出の妙なファンキー風のオッサン。
「ワシは神様。このバトルを主催しているものじゃ」
 神?
「こんなアフロ野郎神じゃない」
「帽子じゃコレは」
 あぁ帽子なんだソレ。
「で、バトルに戻るが、しばらくは一時休戦とする!」
 はぁ?
「一次選考は終了したからのぅ。」
「一次選考?」
 しばらく俺達は自称神の話を聞くことにした。
 バトルは一次と二次に分かれており、俺達は無事一次選考を突破したらしい。
 で、二次選考まではしばらく日数があるので休戦と言う事だ。
「そう言う訳だから、休めよ青春時代!!」
 青春時代・・・?
 そう言う訳で、一次選考は無事突破。

  トゥービーコンティニュー・・