第三話・能力
「時間も時間だし、話は食事の最中にでも・・・」と、7歳児の弟・志爛(しらん)が薦めたので、一先ず一同は食卓につく。
今日の食事当番は俺こと析羅(さくら)、この中では一番まともな飯である。
白米に味噌汁、焼き魚。四角いちゃぶ台に次々と並べられていく。
「では再度ご説明しますね。次の神になるには一人中学生を選び、能力を与え、他の能力者と戦わせ、優勝しなければなりません。」
神候補と名乗る女性・真久利(まくり)が味噌汁を冷ましながら話す。
「勿論優勝した中学生には空白の才と言う好きな才(才能)を一つ手に入れる権利が与えられます。」
「あぁ、大体の中学生はソレ目当てに戦うって訳ね。命を懸けるにはいい理由だな。」
茶髪の少年が味噌汁を啜りながら言う。
「だが優勝した中学生の性格次第だな、良い奴が手に入れれば別に何の問題もないが、悪い奴が手に入れるとロクな事にならんからな。」
焼き魚を食べながら黒髪碧眼の少年は言う。
「白くも染まれば黒くも染まるって事だな。」
長髪の少年が箸を銜えながら言う。真久利は「そう言う事」と、返す。
「・・・・・・一つ聞いていいか?」
不愉快そうに析羅はご飯に醤油をかける。
「何で貴様等が此処にいるんだ?」
析羅は茶髪、碧眼、長髪の少年に問う。どうやら知り合いらしい。
「生徒会の会議の為に決まっているだろうが」
「お邪魔してまーす。」
「今日の会議先はお前の家と前に伝えたはずだったが、客人がいたみたいなので少し待っていたのだ。」
碧眼の少年こと縹水寿(はなだみすず)、市立暁中学校生徒会長・中三。
「オレの家でも良かったけどよ、今の時間殴り込み(カチコミ)が多いから 仕方なくな。」
茶髪の少年こと赤杜紋火(せきもりあやか)、同校生徒会副会長・中三。
「それにこう言う事は今に始まった事じゃないだろ?会計。」
長髪の少年こと澄飼信(すみかいまこと)、同校生徒会書記・中二。
「まぁ、そうだが・・・」と、同校生徒会会計の析羅は白米を口に入れる。
「だが真久利とやら、家の方はどうする気だ?異界から来たのなら家はないのだろう?」
水寿は真久利に聞く。その問いは代わりに析羅の兄・蒼伊が答えた。
「心配御無用!彼女は遠い親戚って事にしてあるから、門下生が来た時の為に家は広く造られてるし、大丈夫だって!!」
「その代わり家の食費が2割増しになるけどな・・・」
黒いオーラを発しながら析羅は言う。そりゃ無理も無い、その食費は彼のバイトで消化するのだから。
「給食費に光熱費、学費に水道代食費その他諸々・・・またバイトを増やさなければな・・・・・・」
析羅は黒いオーラを纏ったまま、飯を食べる。
「そう言えば析羅君、能力についてだけど・・・どんな能力が良い?」
「え?」
肝心な事を忘れていた。能力を与えなければ、このバトルに参加出来ないのだから。
「そ、そうだな・・・ ・・・・・・」
析羅は竹刀に一瞥をくれると、
「・・・竹刀で、何か無いか・・・?」
小さい頃から使っていた竹刀、そして、一番自分の傍にある存在・・・。
「・・・そうね、“竹刀”に関わる能力はないけど・・・“剣”と言う意味ではこの能力しかないわね・・・」
そう言うと真久利は析羅に手を向ける。
手は一瞬光ったかと思えば、光は消え、手を元に戻す。
「・・・?」
「コレで能力は与えた。私が貴方に与えた能力はね・・・」
真久利は笑顔で言った。
「“液体”を“道具”に変える能力」
トゥービーコンティニュー・・・