「スケジュールを変更します!只今より四次選考を開始!!!四次選考進出16名全員で一斉に戦い合い、残った者が優勝とします!!!」
 最後の戦いの幕が、思ったよりも早く、願ってもないのに、早く、上がってしまった・・・・・・。

  第三十四話 最後の戦い

「・・・何を、いきなり言ってんだアイツは・・・」
 神にしか進行権はないんだぞ・・・!?
 信(まこと)の質問に答えるかのようにアノンは続ける。
「何故ボクが仕切ってるのか・・・それはね・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 そう言うとアノンは顔を手で覆った。その直後、奴の顔が変形した。
 手を元の場所に戻すと、そこには神がいた。
「ボクが、神の体を乗っ取ったからさ。」
「!!! な、何だと!?」
 真実に周囲は驚愕の色を示す。包帯を解くと奴の本来の姿を現した。
 妙なメイクが施されている幼そうな顔立ちが・・・。
「ボクの名はアノン。地獄人、守人の一族の生き残りです。」
 守、人・・・?
「このゲームはたった今、ボクの支配下に落ちたんだよ。」

「守人の生き残りか・・・まだそんなのがいたんだね」
 神候補の5人は巨大映像を眺めている。
 析羅(さくら)の担当神候補、真久利(まくり)は、俯いていた。

「じゃあ四次選考のルールを発表するよ。まあルールと言ってもいたって単純明快・・・誰でもいい。一番最初にボクを倒してくれたチームが優勝です!」
「!!!?」
 奴を、倒すだけ、だと・・・?本気で何考えているのか解らんな・・・・・・。
「ただし、ボクと戦うためには、二つの条件がある。」
「条件?」
 紋火(あやか)は腕を組み考える。
「ボクの立体映像の足元に空中庭園が見えるかい?ここがボクと戦うための舞台・・・『道』だよ。」
 そう聞くと周りは道と呼ばれた所に注目する。
「まず、みんなにはここへ赴いてもらう。ただし制限時間は今から12時間!!!」
「じゅ・・・12時間!?」
 夜通しで行うつもりか、コイツは・・・!?
「1、12時間以内に『道』に辿り着けなかった者。2、制限時間以内に辿り着いても、一度『道』から降りたり、落ちたりしてしまった者。以上の者は、ボクと戦う権利が無くなるから注意してね。以上でルール説明終了!」
 まずはあそこまで行かなければならないのか、遠いな・・・ざっと、4,5キロメートルぐらいか。
「・・・・・・・・・・・・さて、始める前に、一つ教えてあげる。」
 ルール説明以後の付けたしには興味がなかったので聞き流す事に。走り出そうとした瞬間・・・
「ボクがもし優勝しちゃったら、ボクは君達を滅ぼす。」
 その言葉に足を止めてしまう。
「な、何だ、と・・・!?」
「天界人も・・・地獄人も・・・人間達も・・・ボクの“夢”のために滅んでもらう。」
 夢の為、だと・・・?その為にあいつ等も、俺も殺すか?
「四次選考・・・・・・・・・・・・」
 アイツも、奴の夢の為に、死ななければならんのか?
「よーい・・・・・・・・・・・・」
 許せんな・・・
「ドンッ!!!」
「ウォオォオオォォオッ!!!!」
 大量の犠牲を生んでまでの夢など、必要ない!!
「そんな夢・・・」
 今終わらせてやる。

「・・・ッ が、頑張ってね、析羅・・・」
 真久利は、首に下げていたペンダントを、ギュ、と握り締めた。
 祈る様に、ただ、握っていた・・・。

 析羅の首飾りと、同じ物を・・・・・・