思いついた策も見事に破られた。
 どうする・・・?他に何か、何かあるのか・・・!?
 ・・・・・・いや、考えるな。
「当たって砕けろ」
 口から紡がれた言葉に気付きアノンは俺に目を向ける。
「この際、いきあったりばったりでやってやろうじゃないか・・・ッ!!」
 もう会えなくなったって良い。
 一度でも会えたのだから、それで良いではないか。
 そう自分に言い聞かせ、俺は覚悟は決めた。

  第三十九話 当たって砕けろ、いきあったりばったりで

「・・・ハッ、それもそうやな。」
「常時MAXで行けばいいんだからなぁ!!」
 その言葉に佐野は賛同した。同じく、糸瓜も。
「奴の指紋さえ採取できれば、影分身に変えてレベル2で奴を倒せるもんな・・・」
 彪音(あやね)も賛成。「自棄になるしかもうないな。」と、俊足閃光男子陣も。
「そうですわ。」
「もう、やるしか残ってないじゃない!!」
 鈴子も、森も賛成。つまり満場一致となった。
「制限時間はあと数時間、気張って行くぞ!!」
「「「「「「「「「おう!!!」」」」」」」」」
 力任せな攻防が始まる。
 体力の方も限界が近い、が、気を遣っている場合ではない!
 どんなに避けられようが、どんなに防がれようが、刹那の隙で勝機はある。
 刹那でも、奴に隙さえあれば・・・

「8時間40分か・・・結構ねばったね。」
 全員が限界を超えてしまった。
 血と、汗が行く筋にもなって流れている。液体さえあれば能力は使える。が、体の方が、もう、殆んど言う事が利かない・・・。
 それを知っててアノンは森の首に手を掛け、持ち上げる。そして、少しずつ移動を始めた。己の目的を話しながら。
 行き着いた先には、森の足元に足場がなかった。
 そして奴は、森の首に掛けていた手を放し、森を、道の下に落とした。
「森・・・!!」
 助けようにも、体が動かない・・・
 何の為に俺は武術を学んだ!護る為だろう!!?一人として護れないならば、何の為の十余年なんだ!!
「・・・クソが・・・ッ」
 俺は何て、無力なんだ。
 夜明けが来る。夜明けの日光から小さな影を見た。
 青い翼を持った、少年。
 植木、耕助
「・・・植木・・・!?」
 花鳥風月で得た翼を以って空を舞い、森を助けた。
 森を再び道の上に置き、奴はアノンを見る。
「コイツはオレが倒す!!!」
 アノンは楽しそうに笑っている。

  トゥービーコンティニュー・・・