AM4:30
 俺こと神剣析羅(かばやさくら)はいつも通りの時間に起き、着替えを終えた後第一道場(家は総合武術なので無手の組と武器の組とで道場を分けている。第一は武器の方だ)に足を運んだ。
 水が入った、ペットボトルを片手に携えて・・・。

  第四話・二人の男女

 道場に入ると、昨日の事を思い出した。

 昨日
「“液体”を、“道具”に、変える能力・・・?」
 ソレが俺に与えられた能力。
「そ。念じればイメージ通りの道具を作る事が出来るわ。でもどんな能力も限定条件って言うのを攻略しなくちゃいけなくてね、貴方の場合は一度空気に晒された液体にしか能力は使えないって事。」
 淡々と神候補・真久利(まくり)は言う。
「つまりペットボトルに入れたままじゃ能力は使えないって訳だな。」
 紋火(あやか)が食いつく。
「そう言えばこの間そのような事を聞いたよな。」
 水寿(みすず)はお茶を飲みながら紋火・信(まこと)に聞く。二人は黙って頷く。
 俺は一旦黙り込んだ。
「・・・一寸待て、て事は、お前等まさか・・・」
「お前と同じ能力者って訳だ」
 信は冷静に言う。
「でも能力を与えただけだから、敵でも何でもねぇ、別に空白がどうのとか関係ないし。いつも通りさ。」
「仲間としてやっていこうぜ、兄弟!」
 その言葉に少し安堵感を得た。流石に俺でも一人でこの戦いを続けられそうに無かったから・・・。
「有り難う、皆・・・」

「・・・“液体”を、“道具”に 変える能力!!」
 掌に落とした水は姿を変えてみるみる日本刀となった。
「・・・こんなモンだな」
 そして再び水へと姿を戻した。

 今日は牛丼屋にてバイト、入れ替わる客に俺はとびっきりの笑顔で挨拶を交わす。
 ふと俺は一組の客に目をやった。
 俺と年端がさほど変わらない男女の客、女は睨む様な目つきで男を見ている。青髪で額に眼鏡をかけている。
 男の方は深緑のツンツン頭、女の視線を気にせずパクパクと牛丼を口に頬張る。と、言うより・・・
 寝てる。
(居眠りしながら食事を取るとは、どれだけ器用なんだよ・・・)
 俺は呆れながら見ていた。
 その時
「・・・あ?」
 大男が扉からすっ転ぶ様にやってきた。先程の深緑ツンツン頭を下敷きにする。
 その拍子で中身の牛丼が俺に直撃する。
「大丈夫神剣君!!?」
 先輩がご飯塗れの俺を見て問う。
「何とか・・・」
 その後黒服の男達がこちらに近付く。
「裏口ぁどこじゃ店員!?」
 大男が先輩に問う(ガラ悪いな)。先輩は気圧され、身を震わせて案内した。
 そうして大男は去った。鞄にツンツン頭の男を引っ掛けて。女も男が心配で後を追う。
 黒服の男達が店内に入ったのはソレから数秒後の事だった。
「くそっ、何処だ!?」
「あのガキ・・・!」
「・・・お前等が元凶か・・・・・・」
「・・・あぁ?」
 男は不愉快そうに振り向く。
 黒いオーラ・・・と言うよりは殺気に近いオーラを纏いながら俺は口を開いた。
「あの男を此処に追い詰め、俺を飯塗れにして、客に恐怖を貼り付けた・・・」
 俺は拳を固める。青ざめながら黒服の男達はこちらを見る。
 俺は滅茶苦茶の笑顔で相手を見る。
「ウチの給料減らすんじゃねぇよ、ワレがぁー!!」
 黒服は絶叫を上げて俺の攻撃を食らったのであった・・・。

  トゥービーコンティニュー・・・