暁中学生徒会の面々、実は彼等も能力者の一人。
しかし、内3人は能力が明かされていない所か、殆ど登場する事がない。
そこで、彼等の能力を明かす為に空間を使わせてもらいます。
では、どうぞ。
第六.五話 極道が選んだ能力
植木達が佐野に出会う3,4時間前の事である。
一人の少年が行きつけの洋菓子店で茶菓子を買い、店を出た所。
背丈は170前半、髪は赤に限りなく近い朱色、瞳にいたっては完全に赤色である。紺色の学ランを空けて着ており、傍から見れば立派に不良の類である。
彼の名は赤杜紋火(せきもりあやか)、15歳。10年間極道に囲まれて育ってきた少年である。ちなみに生徒会では副会長を務める。
「全く・・・何で俺に行かせるんだか、店員怯えてたぞ。」
実は彼、生徒会長・水寿(みすず)の言いつけで、進路説明会に来た高校生用の茶菓子を取りに行っていたのである。断ろうにも、小学校からの付き合い、彼に恐ろしい腹黒さがあるのは良く理解している。
「オイ、お前・・・」
そんな紋火の前に立ちはだかる影がある。
帽子を被った、小柄な少年。
「能力者だな?」
「? そうだけど・・・、何?何か用か。ボウズ」
紋火は平然と答える。少年はポケットから何かを取り出した。
一つの、青い青いビー玉・・・
「倒しに来た、“ビー玉”を・・・」
弾いたビー玉は光を帯びる。
「“ナイフ”に変える能力ぁっ!!」
みるみる姿をナイフに変えて紋火を狙う。
「お」
こんなナイフぐらいじゃ怯む事がない(だってそれ以上の事が日常茶飯事に起きてるから)紋火は柄を掴む。
「・・・此処じゃ危険だ、場所を変えよう」
ナイフを落として、紋火は言った。
二人が来たのは裏路地にある公園。あまり人が来ないから戦うには打って付けだ。
「じゃ、続き行くか。」
ベンチに茶菓子を置き紋火は靴の爪先をコツコツと叩く。
瞬時に間合いを詰める。これが、彼の能力・「“相手の10秒間”を“相手の1秒間”に変える能力」だ。
つまり相手の速さを10分の1に変えた訳だ。
元々生徒会4名は接近戦に長けた人達、中途半端な間合いは好まない。
そして彼のモットーは・・・
“先手必勝”
ものの数秒で決まった。巷では4人を「俊足閃光」と綽名付けられているが、未だ彼等は知らない。
「ぅし!これでまた才が増える!!どんなのが入ったのかなー、後でモバイル見せてもらお。」
気絶した元能力者を後に、少年は去る。
その後、茶菓子を忘れて帰って来たので、水寿の制裁を食らったのは言うまでもない。
トゥービーコンティニュー・・・