第七話・道場破りも同然な武術部荒らし。

 一人の能力者が火VS.木の能力バトルを見ている。あの時の、煙突男だ。
「お、お前も見学に来たん?」
 俺に気付くと男は声をかけた。
「ん、まぁ・・・一応。」
 此方からの騒音で読書が楽しめないと言う本音はこの状況じゃ言い難い。とりあえず適当に相槌を打ってみた。
「黒髪に琥珀の目・・・あぁ、お前が神剣析羅(かばやさくら)っちゅー武術部荒らしか?」
「!」
 そんなに知れ渡ってたのか、俺の名前・・・。
 ただ手当たり次第(練習試合込みで)相手校との戦いに勝ってきただけなのに。326試合中敗北・・・?あったっけ(引き分けは何回かあったが)。
 と言うか「荒らし」ってのは気に食わんな。
「稲穂中も何回か被害にあっとるからな、嫌でも判る。紹介が遅れたわ、俺は佐野清一郎!稲穂中の3年で能力者や。お前と、同じくな。」
 少し空気が緊張を強める、この男・・・結構な腕前と俺は見た。だが腕力はただの中学生も同然、能力の方に関して「結構な腕前」だな・・・。
 しばらく現状を把握する為に、状況説明をしてもらった。
 植木耕助、ゴミを木に変える能力者。短時間で能力の応用をやり遂げた男。気絶している少女は彼の友人かそうじゃないか、ま。気絶している以上、バトルには無関係だろうがな・・・。
 対する巨漢は平丸男、水を火に変える能力者(この野郎、キャラ被るじゃねーか)。能力に関しては熟知している模様、応用は容易く出来る。
 あ、弾切れのようだな。その点植木とやらはゴミが沢山あるから攻撃が可能・・・
「水ならあるですよー!!」
 冷蔵庫が、上から落ちてきた。そして現れたは、妙なチビッコ。
「なろ・・・っ」
 佐野は階段を下りていき、植木を助けた。しかし金縛りに遭ってしまう。
「さあ平くん!二人いっぺんに火葬してあげるです!!」
 何も起きない。
「・・・?平くん・・・?」
「こりゃどうも有り難う御座います、態々俺の為に(ココ強調)こんなに一杯水を下さるなんて良い人ですなぁー」
 冷蔵庫にあった水入りペットボトルは、全部俺が貰っていった。一応液体だもん。
「なぁー!!  フン!まだ一本あるですよ!!」
 炎弾とやらも平丸ごと消されてしまった。植木によって。
(俺が出る事も無かったな・・・)
 そう踵を返そうとすると・・・
「逃げるな。」
 学ランの襟を掴まれ、苦しい思いをした。
「何をするか行き成り!!」
「お前は飯食わんのか?」
「・・・・・・」
 確かに小腹は空いていた。
 こうして俺は男同士謎の食事会に招待されてしまった・・・。

  トゥービーコンティニュー・・・