『甘えるって、どうすればいいんですか?』
僕に向かってそう聞いた、あまりに素直な彼女の声が、僕の耳を離れなかった。
彼女と出会ったのは、およそ二ヶ月前。二学期の始業式のことだった。
その日、朝から僕の頭に在ったことといえば、どのようにして長ったらしくて無意味な校長の話を聞き流すかということくらいだった。
けれど、そんなくだらない思案はあの瞬間吹っ飛んだ。
"転入生がやって来た"
そう聞けば大抵の人間は、無意識のうちに、男子は可愛い女子を、女子は格好良い男子を想像してしまうことだろう。
しかし、相手も普通の人間。そう男女どちらかの理想像どおり
の人間なんて、そうそう現れることなく、そのドキドキのご対面は終わる。
―――僕らの場合もそうなるはずだった。
しかし、神様とは以外にも意地悪なもので、いわゆる"想定の範囲外"が起こったのだ。
彼女が教室に入ってきたとき、前述の僕の思案然り、すべてのことが頭から吹っ飛んだ。それは多分、他の人も一緒だろう。
時代遅れの制服を校則通りに着て現れたのは、とんでもない美少女だった。
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あとがき
晴鈴です。皆様お元気でしたでしょうか?
三回目の投稿にして、またもやオリジナル・・・です・・・。
しかも、今回は続いてしまうようです。
登場キャラには名前をつけていませんので、皆様、必要で したらA君とでもFさんとでもご自由にお呼びくださいま せ。
では、また次回。