僕は壊れる事しか出来なかった。
 あの時から既に
 僕は壊れている・・・


   ― 古傷 ―


 僕の名前はリローシュ・ギョクロ、あってはならない禁忌の子。
 冷たい視線が伝わる。
「アレが例の天界人と地獄人の間で生まれた子か・・・」
「神器使えるのかよ、卑怯だなー・・・」
「近付いちゃ駄目。」
「アレは紛れも無い、バケモノなのだから・・・」
 母親はいない、もうこの世から去った。流行り病だそうだ。
 自分を庇う者がいない今、冷たい視線は己を絶望させるだけ。
 自分は独り、自分は独りと言い聞かせ、家に戻る。

 ある日、家の掃除をしていると紙袋を見つけた。
 中身は、碧い首飾りと 一通の手紙。
  ―未だ見ぬ私の弟妹へ、貴方と兄弟の印を送ります。 真久利―
 この手紙で姉がいる事を初めて知る。
 僕にもまだ、家族がいたのか。
 首飾りを握り締め、幼い僕は家を出た。

 もう帰る事の無い我が家を、故郷に残して・・・


   続く?