「ぶっちゃっけ、親睦ってどう深めていいのかわかんないよね」
俺は、もっともな事を今更言った。
「今更、な感じですね。」
ナエもそう思ったらしい。
「なぁ、嬢ちゃん」
「ナエでいいですよ?別に、困ることでもないし。でも、ハヤトさんの前で言わないでください。」
わかってるよ。お前の兄貴のシスコン発動時の戦闘力は禁句言った析羅並みに上がりそうだから…。
「で、何ですか?」
「いーや、兄貴が戦ってるから、心配じゃないのかなって」

俺は後悔する。
言うべきじゃなかった。

「心配じゃない訳…ないじゃないですか」
ナエの顔つきが変わる。
「私、捨て子だったんです。」
まじですか。
「ハヤトさんが、私を拾ってくれました。それが、とても嬉しかったんです。」
ナエの顔が、段々泣き顔になってきた。
「いつからか、ハヤトさんは私の憧れでした。いつも面倒がるけど、いざとなったら真面目で、私のことも何回も助けてくれました」
「良い兄貴だね。とばっちり受けまくりの俺には素晴らしい状況だよ。」

「でも、それが今危ないことになっていて、それが…私…」
「泣きなよ。それで気がすむなら、何時までも。」
その言葉と同時に、ナエは泣きくずれた。
紋火は、泣くナエを自分の胸の内に収め、思う。
(この光景を誰にも見られませんように)


「ナエちゃーん。一緒に寝ましょ…って…」
いきなり扉が開き、析羅の神候補、真久利が登場する。
どうやら、甘える素振りを一切見せない析羅を弟に持つ寂しさをナエで一気に解消しようとしてるようだ。
この状況を見て、そんな考えは吹っ飛んだが。
「えー、いや。真久利さん?これはですね。色々とわけがありまして…。」

真剣にどうしよう。紋火がそう思った修羅場である。