闇夜の中に足音が混じる。
それは一つ。集団ではなかった。
「誰ですか…?」
ナエはそれを聞いて、ムクりと起き上がり、部屋の外にでた。
ペタペタと裸足特有の足音を立て、玄関で靴を履いた。
そして、外にでる。

そこに居たのはぼんやりと朱色に見える髪、赤い瞳にベージュ色の上着を身に包んだのは
「紋火…さん?」
「おぉ、ナエ。起こしちゃったか。」

ベージュ色の上着を確認する。血の色が付着していた。
「誰かと…戦ったんですか?」
「あぁ…大丈夫、全部倒したよ」
ニコリと笑う紋火の顔にも、血が付いていた。
「怪我は、ありませんか?」
「いや。ついてる血は全部返り血だし、でもこの上着は…クリーニングに出さないとだめだよなぁ…」
「良いじゃないですか、玉の輿なんですから。」
「いや、だから玉の輿ってオイ…」

各自自分の居候部屋に戻り、就寝に入る。

そして、朝が来た。

「それでは、お世話になりました。」
「お邪魔しましたー」

「はいはい。またいつでもきなよ」
そう、蒼伊さんは言ってくれた。


「ナエ。」
「なんですか?」
「じゃあな。」
「ハイ。お気をつけて。あの、よろしかったら住所を…」
「そんなもの聞いてどうすんの?」
「いつしかお礼に参りますので…」
「いや、いいよ別に」
ナエは真面目な顔をして
「いや、それが風野家の決まりなんです」
「あ、そう…。じゃあ、これ。中には入ってこないことをお奨めするけど…。」
「ハイ、わかりました」


そういってナエと紋火はわかれた。


落とし主か交番を求めて お終い