登校途中。森が空を見上げると花鳥風月(セイクー)で鳥と紛れて空を気持ちよさそうに飛ぶ植木の姿があった。
アノンとの戦いで天界力を使い果たしてしまったのだが、
木の能力が戻ってきてから神候補が与えた展開力が戻ってきて、元天界人の天界力も芋づる式に戻ってきたのである。
もうこれからはあの植木特権のバカでかい神器も出そうと思えば出せるのだ。
佐野は鉄の能力がもどって来てから嬉しそうにダウジングをしている。よっぽどマイ温泉を掘り当てたいのだろうか。
鈴子も屋敷の庭園で実験してみたところ、「ビーズを爆弾に変える能力」も戻ってきているらしい。
ヒデヨシも「声を似顔絵に変える能力」で毎日太陽の家の子供達と遊んでいるのだった。

数日後、鈴子は鈴鹿を連れてきた。
鈴子と似たような顔をしたその少女は、サラサラとした茶色の髪の毛を肩までのばす可憐な少女であった。
瞳の色は漆黒で、青春まっただ中の少年が見たら一目惚れしていたに違いない。
鈴鹿「初めまして、鈴鹿と言います。同じ能力者です。」
植木「俺は植木耕助。」
佐野「佐野清一郎や。ま、よろしゅうたのむわ。」
森「あたしは森あい。よろしくね、鈴鹿ちゃん!」
ヒデヨシ「俺は宗屋ヒデヨシ。ぶっちゃけよろしくな!」
全員の自己紹介が終わると、鈴鹿はニッコリと笑い
「よろしくお願いします」と言うのだった。
鈴子「折角みんな集まってるんですから、これから喫茶店にでも寄りませんか?」
みんなの意見は一致して、近所の喫茶店に寄ることになった。

店員「ご注文はお決まりでしょうか?」
ヒデヨシ「俺オレンジシャーベット!」
森「あたしアイスコーヒー!」
佐野「じゃあ俺は抹茶アイスや」
鈴子「私はアイスティーを頂きますわ(あいちゃん、ヒデヨシ君、声が大きいです・・・。)」
鈴鹿「コーヒーお願いします」
植木「俺はソーダとメロンシャーベットとチョコケーキとバニラアイスと・・」
森「頼みすぎよ バカ!お腹壊すでしょ!?自分のお腹とフトコロ考えて頼みなさい!どれか一つよ!!」
植木「イテぇな。叩く事無いだろ・・・。じゃあメロンジャーベットでいい。」
鈴鹿も混ざってすっかり溶け込んだこの六人のスペースだけ賑やかである。鈴鹿はその光景がおかしくてたまらなかった。
鈴鹿がクスッと笑った所に背後に誰かが来た。

???「やーやー。みなさんお久しぶりです。」
6人が振り返ると、そこにはめでたく神補佐になったよっちゃんの姿。
よっちゃん「たまたま人間界に顔を出したのですが、
みなさんが賑やかだったので遠くからでもスグ分かりましたよ。おや?そこの方は・・・?」
鈴子によく似た少女を見て、よっちゃんは眼鏡をスチャッと音を立ててかけ直した。
植木「鈴子のイトコ。鈴鹿って言うんだってさ。」
ヒデヨシ「コイツが俺達が神補佐にしてやった淀川って奴だ。」
よっちゃん「やーそれはそれは!植木君達のお友達で鈴子さんのイトコでしたか!失礼しました〜!」
話ながらもヘコヘコと何度もお辞儀をするよっちゃん。
きっとに天界の神補佐の仕事の癖なのだろう。
ふと。森はよっちゃんのズボンのポケットから見覚えのある
白い四角い箱のような物が目にとまった。
森「あ、これってモバイルじゃない。ちょっとかして。」
懐かしさに目を奪われ、よっちゃんのポケットからその四角い箱を引っ張り出した。これはバトルの時、何度も世話になった相手や自分の情報を見る事ができる「モバイル」である。
よっちゃん「あ、今日押し入れの奥から出てきたんですよ。懐かしかったのでつい持ってきてしまったのです。」
森がピコピコとモバイルを操作していく。鈴子や佐野やヒデヨシも森の後ろから見物していた。植木は注文したメロンシャーベットをむさぼり、鈴鹿はコーヒーをすすっている。
森「みんなのデータ、まだ残ってるかな?」
マルコや明神や鬼やロベルトのデータが次々と表示された。そのうち、佐野や森や鈴子やヒデヨシのデータも出てくる。
最後に、植木のデータにさしかかったその時。
森「あ」
鈴子「え」
ヒデヨシ「い」
佐野「お」
植木&鈴鹿「?」

   森&鈴子&ヒデヨシ&佐野「ええぇぇぇぇ〜!!??」

あまりの大きな声に植木はむせ、鈴鹿はコーヒーを吹き出してしまった。
森「う、う、う、植木ぃ〜!!なによこれ!」
スパァンという気持ちのいい音と共に植木のうめき声が聞こえた。
植木「イテェな。何すんだよ森・・・。そう叩くなって。」
森「どうもこうも、これ見てごらんなさいよ!」
そう言って森は植木の鼻っ先にモバイルの画面を突きつけた。
鈴鹿と共に画面をのぞきこむと、植木のデータが表示されていた。
佐野「植木、自分の才の所見てみぃや。」
鈴鹿「才、1、2、3、4、・・・24コ?意外に植木君の才って少ないんですね。」
森「24コもあるなんておかしいのよ!植木はアノン戦で才を2コまで減らしてるのよ!?バトルも終わったのに才が増えてるなんておかしいじゃない!」
鈴鹿「ええっ!?そうなんですか?私もみなさんの才の事まで知らされてなかったので・・。」
植木「才が増えて怒られたなんて初めてだ。折角増えたんだから祝おうぜ。」
森「才が増えた事はどうでもいいんかーい!才が増えるなんて、アンタ何したのよ!教えなさい!」
植木「んなこと言われたって心当たりないしな・・。」

            続く