コバセン「植木、お前ちょっとこの成績じゃ進級やばいぞ・・」
植木「まさか・・・成績不振で進級不可!?」(どっかで聞いたセリフ)
コバセン「まぁ夏休み補習すれば何とかなっかもな・・・・植木!夏休みのうち一週間は一日3時間俺のウチで勉強だ!いいな!!」
植木「・・・・・・・。」

夏休み一週間前。植木は成績が不安だった。才がない所を補っていても、少し成績は上がったものの無理は隠せない。
そして夏休み・・・―――――

植木「・・・何で俺は今海にいるんだ?」
そう、何故か植木は今海に居た。
しかも海パンにゴーグルに浮き輪という超完璧100%という装備である。
森「植木〜!!」
鈴子「あいちゃん、そんなに走ると転びますわよ!」
佐野「待てや植木、先行くなや!」
ヒデヨシ「ぶっちゃけ待ってくれ〜!!」
鈴鹿「鈴子さん、日焼けしますよ!」
植木「・・・・・。」
そして・・
コバセン「お・・・お前ら待て・・・」
犬丸「小林さん!!?」
なぜかみんなの荷物を持たされたコバセンと犬丸も居た。
森「コバセーン!さっさと荷物持ってきてよ!」
コバセン「ってか何でお前らみんなして俺らに荷物持たせるんだよ!」
犬丸「神様ってもっと絶対的な物じゃないのかなぁ・・・。」
森「二人がジャンケンで負けたのが悪いんでしょ?」
今にも倒れそうなコバセンと犬丸を見て、鈴鹿はハラハラオロオロしていた。
犬丸「・・・小林さん・・・」
コバセン「何だ、ワンコ?」
犬丸「・・・運って時には必要ですね。」
コバセン「・・・・そうだな・・・。」
植木はみんなで海に行く約束をしていたのだが、丁度その日に補習が重なってしまい、コバセンが一緒に海についていって夜補習をするという形で丸くおさまったのだ。


森は、一つ疑問があった。佐野と犬丸の格好である。
佐野は海パンだが、海なのに何故かゆったりとした白黒の防水性ジャンパーを着ていた。ひょっとしたらあの中にもしもの時の為の手ぬぐい尾がわんさかと詰まっているのだろうか。犬丸は海風が寒いのか少し厚めのパーカーをズボンとそろえて着ていて、パラソルの下で休んでいる。


植木「よっしゃ〜!!!泳ぐぞー!!」
異性の良いかけ声と共に植木・森・佐野・鈴子・ヒデヨシ・鈴鹿の6人は豪快に波へと飛び込んだ。
佐野「っぷは!気持ちええで!小林とワンコも来いや!!」
ワンコ「僕らは遠慮しておきます・・・『いい年してー』なんて言われたくないし、僕には海の水は冷たすぎます・・・。」
コバセン「ワンコは寒がりだからなー」
普段厚着をしている犬丸には海の水は冷たすぎるらしく、パラソルの下で小林とじっとしていた。夏は暑いと素直に思えても水に入りたいと思うほどでは無いらしい。こんな人が冬になるとどんな格好をするかなど想像がついたもんじゃない。

「ブクブクブクブクブクブク・・・・・・・」

カニが泡を吹くような音がして、振り返ると底には水面の上にうつぶせで浮かんでバタ足をしている植木の姿があった。さっきから必死でバタ足をしているのにいっこうに進まない。
森「アノン戦で水泳の才を無くしているからね」
佐野「戻って来た植木の才24コの中に水泳の才はなかったんや。他にも無いのはいっぱいあるで。」
ヒデヨシ「勉強の才もその一つか。」
鈴鹿「それにしても、才が戻るなんて不思議ですね・・」
鈴子「不思議ですわ・・・。」
             プクン
そんな5人の話が鈴子の最後の言葉と共に、植木は水底に沈んだ。
森&佐野&鈴子&ヒデヨシ&鈴鹿『うわぁぁぁぁ〜!!?』
ヒデヨシ「植木ぶっちゃけ大丈夫かぁ!?」
佐野「こりゃぁビート板無いとだめやな」
ズルズルと情けない音をたて、波の切れ間から植木の緑色の頭が出た。
植木「今・・・花畑が見えた・・・・」
森「あきれた。もうあんたは泳がないで・・。」
植木「じゃあこうするよ。」
そう言うと植木は海を漂うビニールを拾い、
「゛ゴミを木に変える能力"!!」
ニョキニョキと大木が現れ、弦が巻き付き、あっという間に即席の巨大いかだを作った。
佐野「うおぉ!!植木こんな技何処でつかんだんや!」
ヒデヨシ「ぶっちゃけ俺も乗せてくれ〜!!」
植木「ん、いいよ。森と鈴子と鈴鹿もどうだ?」
森「当たり前じゃない!乗るに決まってんでしょ!」
コバセン「おお、何か面白そうじゃねぇか。乗るぞワンコ!」
犬丸「だから僕はワンコじゃなくて犬丸です」
話の結果、犬丸とコバセンも乗る事になった。
なぜか、コバセンは片手にバスケットを持って。

植木の作った巨大いかだは、植木チームメンバーに鈴鹿とコバセンと犬丸を足した8人組を乗せて、ぷかぷかと海面を漂っていた。
犬丸「・・・・・・・・・」
佐野「(ワンコの奴、海風に当たってふるえとる・・コレがホントのブルドックってか。)」
コバセン「そーだ植木、お前に7月4日のプレゼントがある。」
森「ええ!コバセン顔に合わずそんな物持ってきてたの?」
コバセン「顔に合わねぇとは失礼だな。ま、植木。開けてみろ。」
差し出したのは先ほどコバセンが持ってきたバスケット。
植木「ん、分かった。」
             パカッ
???「よ、コースケ。久しぶりだな!」
森&佐野&鈴子&ヒデヨシ「テテテテンコぉ!!?(ちゃん)」
植木「おおテンコ、人間界に来てたのか。久しぶりだな。」
テンコ「コースケも相変わらずだな!しばらく此処へ居れる事になったんだ。」
植木「おお〜そうか。まぁゆっくりしていけよな!」
鈴子「テンコちゃん久しぶりですわ〜!!はわ〜・・相変わらずカワイイです!!」
テンコ「むぎゅう!??ちょ、鈴子くるしい・・・」
鈴子に抱きつかれてあわてて植木の元へ飛んで逃げるテンコ。
しかし、それを目を白黒させて見ている者が居た。
・・・・鈴鹿である。
鈴鹿「・・・・・その生き物は何ですか?」
初めて見る天界獣に内心あせっているようだ。
森「あ、これ天界獣のテンコって言うの。友達だよ。」
テンコ「お、見かけねぇ奴だな。コースケ、コイツ誰だ?」
鈴鹿「植木君の友達ですか・・テンコちゃんですね。よろしくお願いします♪」
植木の友達と分かって安心したのか、鈴鹿は嬉しそうに笑った。
テンコ「な・・・!!お前までちゃん付けするのかよ!」
鈴鹿「え?だって鈴子さんが『テンコちゃん』って呼んでましたから・・さん付けするのも変だと思って。いけませんでした?」
佐野「『テンコさん』か!ぶははは!!こりゃオモロイやんけ!!」
テンコ「わ・わらうな佐野!!///」
佐野「ぶははは!!」
テンコ「笑うなっての!///」
植木&森&鈴子&ヒデヨシ&コバセン&犬丸「クスクスクス・・・」
テンコ「あ!お前らまで!くそお、みんなして俺を笑いやがってぇ!!///」
こうして、笑い声に包まれながら太陽は水平線へと沈んでいった。


夜。ジェラード財閥の貸してくれたホテルで泊まることになった8人一匹。
森「ヒデヨシ、あんた日焼けしたわよ。」
ヒデヨシ「俺より植木の方が黒いぜ」
植木「ってかソレ以前に佐野なんか上着着てたから変な風に焼けてるぞ。浴衣着てても良く分かる。(黒サル・・・)」
鈴鹿「クスッ」
佐野「笑うなや!///」
森「・・・ねえ、植木。ビーチで見かけた女の人って、みんな植木を見てなかった?『女子に好かれる才」なんて無いのに。」
植木「知らん」
鈴鹿「それはきっと、植木君には『好かれる才』が無くても『嫌われる才』があるわけじゃ無いからです。勉強だって、成績は悪くても出来ない事は無いのでしょう?」
森「あ・・そっか。そうだよね。」
鈴鹿も言葉に納得した森。
その日は疲れたのかみんな寝てしまった。
明日はどうなることか。
            続く