「あいさん!」


・・・・え?


今は掃除の時間。
たまたま二人きりになってしまった男子に呼ばれ、顔を上げたその先には。
感じたくない温かさがあった。


〜Thank you〜


いきなり奪われた唇を離し、男子を突き飛ばすと、その場所を押さえ現在の状況を思い出す。


「・・・・初めてだったのに・・・。」
「ごめん」


そう謝る男子に、同じ唇で。



「あなたなんか大っ嫌い!!」




そう怒鳴って走り去った。
瞳には大粒の泪をためて。




行き先なんてどこでもよかった。


ただただ嫌に残る温かさを持った唇を冷ましたくて。


学校を出ようとして校門に走った。





そこであったのは。







「・・・・きゃ!」
「あ。わりィ、大丈夫か?」




聞きなれた声と、大きな手の平があった。




「・・・・植木?」





会いたくなかった。会いたかった。
そんな感情が矛盾して。
さらに大きな涙が流れた。





「・・・・・森!?どうした!?」
「・・・・ひっく・・・えぐ・・・」
「どうしたんだ?なんかあったのか?」





困った顔。
心配してくれてる。







本当は口にもしたくなかったが、心配してくれてる彼に今更なんでもないとは言えない。
まだ温かさが残る唇で、泣きじゃくりながら話した。


「あ・・・のね。・・・さっき教室で・・・・。」


「うん。」


「・・・・男子に無理やりキスされたの」



そういった瞬間、彼の眉間に皺がよった。




「・・・誰だ。」
「え、えっと・・・同じクラスの・・・」
「・・・・ぶっとばす。」



そういってむくりと立った。
中一とはいえ、あのバトルを乗り越えた植木だ。
その植木が「ぶっ飛ばす」となれば、おそらくぼこぼこにされるだろう。



これは止めなくては、と思い彼の服のすそをつかんだ。



「・・・ううん。いいの。それよりもそばにいて・・・。」
「・・・・・・・・わかった。」



「・・・・ほんとに、ほんとに嫌だったの。」
「うん」

「好きでもない人にされるなんて」
「・・・うん」


真剣に聞いてくれる彼がいる。
それだけで心が和らいでいく気がした。


「・・・・・あたしがしてもいいのは、植木だけなのっ!!!」



「・・・・・へ?」


しばしの沈黙。


(え!?今あたしなんていったの!?告白!?今の告白!?どうしよう・・・!いくら混乱してたからって・・・!!!)




「・・・・森。」


後ろを向いて自問自答していると、彼が呼んだ。



おそるおそるうつむき加減にふりむく。




すると。



大きな手で俯いた顔を上げられ。

先ほどとは大違いなくらい、心地のいいぬくもりがあった。


「・・・・・んぅ・・・」

息ができなくなるくらい長いキス。



「・・・ぷはっ!」
「・・・・・消毒。」

「・・・へ!?」
見る見るうちに顔が朱に染まっていく。



「・・・おれも、好きだよ。森のコト。」

信じられないような言葉に、優しい笑顔。



「・・・・ありがとう・・・・!」

それを見て、ぽろぽろとまた落ちだした涙。


それを隠すように、植木はやさしく抱きしめてくれた。


一緒に帰ったその日の帰り道。


唇の温かさと彼の大きな胸のぬくもりは。
まだ覚めないでいた。


〜〜あとがき〜〜
初投稿です!はじめまして!
初めてなのにこんな駄文、すみません・・・。
感想などいただけたら、飛んで喜びます。(^^)