―夏休みの事―
「ヤッホ――!」バッシャ―ン!
うれしさの声とともに水しぶきの音が聞こえた。
佐野とヒデヨシの声だった。
「ちょっと佐野!ヒデヨシ!足つっても知らないよ!?」
森が注意する。
どうやら植木チームのみんなで海に来たらしい。
「なんや。いちいち準備運動しなくてもええやないか」
佐野が言い返すと鈴子が言い返した。
「佐野君!あなた達を心配して
愛ちゃんは注意してくれてるのですわよ!?」
「うっ・・・わかった。ヒデヨシ、1回海から出るぞ」
「おっ、おう」
2人は準備体操をはじめた。鈴子が言うとえらく素直になる佐野。
植木はというとすでに準備運動をしていた。
全員が準備運動を終わらせて海に入った。
「わぁ冷たい!」
森と鈴子は震えている。
一方男子どもは平気で泳いでる。しかもビミョウにはしゃいで。
「植木!まってよ!一緒に泳ごうよ!?」
「ん?いいぞ?」
植木は止まって森が来るのを待つ。
「おい鈴子ぉー!」「おまえもこっち来ぃや!」
佐野とヒデヨシが呼ぶ。鈴子は急いで佐野達の元に行く。
植木と森が佐野達のほぼ反対側で泳いでる時。
ザザ――ン!!!!
ものすごい大波が来た。
「なっなんちゅうデカさや!?」
「きゃぁ!?」「ぶっちゃけすげぇ!」
「!森危ない!」「えっえっ!?」
5人は大波に飲まれた。
「・・・っ・・!皆無事か!?」「俺は平気だぜ」
「さっ・・佐野君!植木君と愛ちゃんがいませんわ!」
「なっ・・なんやて!?」
植木達は岸からけっこう遠くの場所に流されていた。
「森っ・・!だいじょうぶか!?」「う・・うん!」
森が答えた瞬間森が沈んだ。
「おい!だいじょうぶか!?」「ここっ・・!・・深い!」
植木は幸い泳ぎの才があったので森を助ける事ができた。
「どっか・・岩場とかないか・・!?」
すると運良く岩場があった。
植木はそこに森を連れながら上がった。
「森っ!だいじょうぶか!?」
森は息をしていない。
森は気を失っていた。しかも大量の水を飲んでしまったらしい。
「!森がやばいっ!えっと・・人工呼吸ってどうやるんだ!?」
パニック状態の植木。しかしすぐに冷静に考えた。
たしか・・姉ぇちゃんの話だと、息を通りやすくして、
心臓マッサージしながら息を吹き込むんだったよな・・。
植木は思い出したとおりやってみた。しかし森に反応はない。
とりあえず心臓マッサージをして息を吹き込む植木。
植木は森を助けることだけを考えていたのでキスとかそーゆーのは
考えず、息を吹き込んだ。
目を開けてくれっ・・森!
森に反応はない。変わらず目を閉じたままだ。
必死に人工呼吸を続けた。すると植木の目から涙が出てきた。
森っ!おまえがいなくなったら俺はどーすりゃいいんだ!
生きてくれっ!森!おまえがいない人生なんか俺はいやだっ!
そしてその思いが通じたのか息を吹き込んでる時森は目を開けた。
「!森っ!」「う・・・うえ・・き?」
植木は森を抱きしめた。
「植木!?どうしたの!?」森は顔が赤くなる。
「よかった・・森っ・・」植木は泣いている。
その時「おーい!植木ー!森ー!」
向こうから佐野達が救助隊といっしょに船で来た。
「!おーい!佐野ー!鈴子ー!ヒデヨシー!」植木は手を振った。
「森っ行くぞ」植木は涙をぬぐって森に言った。
そして森のほうを見つめた。
「なに?」森はその時顔が赤くなった。植木は森に近づく。
また「なに?」と聞こうとした時植木とキスしていた。
「・・・これからもよろしくな・・森・・」
森の顔はますますかおがあかくなったとさ。
END