ある日の放課後・・・
ザーーーァァァ・・
ものすごく雨が降っている。
あーあ・・ついてないなぁ・・
昇降口でため息をつく森。
じつは森は傘を持っていない。降る前に帰ろうとしたのだが先生に呼び止められ、書類運びを手伝っていたのだ。
だれかに入れてもらおうと思ったけど・・皆帰っちゃったよね・・
夕立なのですぐやむだろうと思い、森は校舎内に戻った。
教室の前を通ったときにフト気が付いた。
教室で植木がイスに座って寝ているのだ。
授業中に寝てそのままか。と思い、植木を起こした。
「うーえーきっ!」
「!はっ、ハイ!何ページですか!?」
植木はガバッと顔を上げ、森は大笑いした。
「えっ・・あれ?あっ森。授業は?」
「何いってんの!もう放課後だよ!」
森は笑いながら言った。
「なんだー・・ん?ってことは俺忘れられてたのかよ!?」
植木は不満そうに言った。
「あっ。じゃあなんで森はいるんだ?帰ってなかったのか?」
「えっ・・うん、雨降ってて帰れないんだー・・」
「んじゃ俺の傘に入れよ。起こしてくれたお礼」
「えっ・・!う・・うん・・」
―昇降口―
「ほい」
植木が傘を森に渡そうとした。
「え?植木は?もう一本傘あるの?」
「いや、ない。でも相々傘はいやだろ?」
「なっ・・だめよ!あんた!こんなどしゃ降りの中、傘無しで帰る気なの!?風邪ひくよ!?」
「・・・じゃあ入れて」
「・・はい」
2人は歩き始めた。
「しっかしひでー雨だなぁ」
「ホントよねー」
その時雷が鳴った。ピカッ! ゴロゴロゴロ!
「きゃあぁぁぁ!?」
森は大の雷嫌いだ。
思わず植木にしがみついた。
「おいっ森!?だいじょうぶだよ!まだ遠くだよ!」
植木は顔を赤めながら言った。
「えっ・・あっ!ごめん植木!」
森はつい傘から出てしまった。
「わわわ!つめたっ!」
「ほら早く入れっ!まじ風邪ひくぞ!?」
その時車が来た。
「!森!あぶねっ!」「えっ!?」
植木は森を引っ張り,森は車からよけた。
「あぶなかったな森「あのぉー・・」
植木の顔のすぐ近くに森の顔がある。
「!!!なっ!ごめん!」
すぐに離れる植木。森はその時気が付いた。
雨があがってきた事に・・。
あっ・・やんできた・・
「おっ・・雨やんできたな・・」
そういいながら傘をしまう植木。
そして2人は歩き始めた。お互い一言もしゃべらなかった。
とうとう分かれ道に来た。
「じゃあ俺こっちだから、じゃあな森」「うん」
植木と森はお互い違う道を歩き出す。
森は止まって植木のほうを振り返り叫んだ。
「植木ー!ありがとねー!」
植木は立ち止まり振り返った。
少し微笑んで森に叫んだ。
「おー!じゃあなー!」
そう言って植木はまた歩き始めた。
森が空を見ると空に虹がかかっていた。
END