いつもと変わらない寒い冬の朝
いつも通りの時間に起きて、いつも通りに制服に着替えて
そしていつも通り朝食を食べ、いつも通り学校へ行く。
何の変哲もない日常が私は大嫌い
まるで痛みすら伴わないような、
そんな日常が変わることを願いながら
変わるはずがないことなんてわかりきってた。
どこかで諦めていた。


        
          フレンズ−1



    

学校へ行く途中の大きな横断歩道
駅前にあるからなのか、人も、車も、ひどく混雑してて
すべてが忙しそうに動き回っている。
五月蝿過ぎる雑音
急ぐ人の群れ
私も 私がついたため息も 全部ぜんぶゼンブ呑み込まれて
人の波に溺れていく

なんでだろう
こんなに人がいて、音が溢れかえってるっていうのに
今、私、ここに独り 
そんな感じ

背筋に震えが走ったのは、
寒さのせいか、それとも恐怖のせいなのか
わからないフリをして私も急ぐ。


「おはよう」

そう後ろから肩を叩いたのは、友達の植木耕助
彼は、私の友達。
頭はいいけれど悪い。一見冷たそうだけど優しい。

「どうした? 朝から眉間にしわなんか寄せて」

不可解そうに私の顔を覗き込んで眉間の間を指で突っつく。
不思議なのはこっちのほうよ。
なんていいそうになった口を噤んで
そっけなく「なんでもない」と返した。
私が不思議に感じてるのは、植木が妙にモテること。
さっき私の顔を覗き込んだあの顔にクラスの女子はおろか
学校全体の女子がキャーキャー言ってる。
私は植木とずっと一緒だったから、どこがかっこいいのかまったく理解できないし、植木のことを男としてみたことがないから周りの女子の気持ちがまったくわからない。

(こんなののどこがいいのかねぇ・・・)

それでも、
自分のことを好きになってくれる人がいるのはいいことだと思うから、あんまり深く突っ込まないようにはしてる。

「そーか? んじゃ、学校行くか!」

そういって植木が見せたのはいつもの笑顔。
私は変わらない今の現実が嫌いだけど、
この笑顔だけは変わらないでいてほしかった。
こいつとの“いつも”の会話も、笑顔もぜんぜんイヤじゃない
こいつといると肩の力がすっと抜けていくようで
何故だか楽な気持ちになれる。
友達と親友の境目は私にはわからないけど、
植木は大切な、いてもらわなくちゃ困る存在。
大切な大切な友達。

二人で歩く通学路。
その上を青く澄んだ空が覆っていて、空気は凍てつくよう。
そこに吸い込まれていく私の白い吐息。



一瞬、視界が揺れて 歪んだ



学校に着いて、教室に入ると
愛想笑いのような笑みを浮かべた友達は
「おはよう」と私に挨拶してきた。
当たり前のように、私も「おはよう」と返すと
また、背筋が震えた。

そうしている間に、チャイムが響き
私たちに退屈な時間の開始を告げた。
そう
いつものように。










結局何にも変わりはしないのよ。
私も、現実も。

                
             
                
                  to be continued…

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 後書という名の謝罪文

はじめまして、みょいと申します。
植森が好きで、植木が好きで、森が大好きなのですが
私の性分の所為か、小説を書くとどうも暗いものになってしまいます…
一応コレはパラレルという形で、植木と森は中学3年生くらいの設定でやっています。
植木も森も普通の中学生。能力とかそういったものは一切なしの世界で、森は中学生特有のあの孤独感に苛まれている話です
森はこんなに暗い子じゃないので乗り越えていくとは思うのですが、やはり中学3年ともなるといろいろなことが見えてきて
自分の無力さや、友達といても一人ぼっちのほうな気がするような年頃のように思えるので・・・
多分これは私が中3のとき辛い生活をしてたせいだと思いますが(苦笑)
投稿モノなのに続きものなので、これからがんばって書いていきたいと思ってます。
それではこの辺で