いつだって知らなかった事があった。
いつだって想いを寄せていた。
いつだって助けられた



日常茶飯事





昨日、何をしたか覚えていない。
自分は今、自室のベットの上にいるけれど、ベットに入った記憶がない。
ダメだ、さっぱり。
昨日の朝は宿題してて、午後は買い物に行った……?
買い物なんて行ったっけ?あり?


「いいや、植木の所にでも行こう」

私たちはここ最近、一緒にいることが多くなった。
遊びに行くんじゃなくて公園の掃除とかゴミ拾いとかただそれだけ。
勿論、時々話したりとか、電話したりするけど、中身はほとんど
バトルの事ばっかり。
それでも、結構楽しかったりする。

私はクローゼットから適当な服を取り出してそれを着ようと試みる。
勿論、愛用のメガネは忘れない。


「いってきまーす」

お母さんの返事が聞こえたと同時に私はドアを開けた。
取り合えず、アイツがいる公園に走って向かおう。
それから、また公園の掃除とか手伝おうかな、慣れてきたし


「あれ?いない………」

公園につけば、いつものように箒を持って掃除をしている植木の姿があると思っていた。
けれど、今日はない。
植木が公園にいない。


「家かな……」

この公園から歩いて10分くらいのことろに植木のマンションがある。
一度来た事はあっても、植木が不在の時の話で、今は少し緊張するかも。
よし、行ってみるか

インターフォンを少し強く押すと、中に響いてるだろう呼び鈴の音。
それにしても、家に人の気配がないのは気のせいかな。
あのお姉さんやお父さんがいれば絶対賑やかな家庭だろうと思ってたけど。
もしかして、誰もいないの?

「はーい、どちら様?って森?」

声はいきなり開いたドアから聞こえた。
顔だけ出せるスペースに植木が顔を出す。
「寝てた?」
一応、疑問だったので尋ねてみる。
「いや、留守番してた」
「あそぉ……」
起きてたんじゃない。
何だ心配して損した。

「入れよ」
「そのつもり」
「あっ、お前最低」
「っるさいわねっ!入れなさいよ」
ドアに手をかけてズカズカと中に入っていく。
小さい声ではあったけれど、お邪魔しますってちゃんと言ったし。
植木は入れって言ったからいいよね

「連絡くらいしてよー、私公園まで行って来たんだしー」
「連絡って……お前」
確かに連絡さえしてくれれば、私は公園まで行かず、そのまま植木の家まで来たのに。
そんなの毎日会ってるんだから『今日も森は来るな』って考えててもいいでしょうがっ

「アンタってバカ」
「うるせえよ」
「何とでも言ってやる、バカバカバカ」
「…………」
出されたお茶の半分も飲んでなくて、ずっと植木の顔ばっかり見てたらまずいかな。
でもさ、見ちゃうんだよね。
鈍感植木君の事好きだし。

「なあ」

ちょっと沈黙が続いて苦しいなって思ったら、植木がそれを破った。
ちょっと嬉しかったりする。
「何?」
「返事」

………?
返事?

「何それ?」
意味が分からない、どこかしら植木の顔が赤くなってるように見えるのは気のせい?
いや、そんな事はどうでもいいのよ。で、返事って何だろう
植木の言葉を待った。

「き……昨日言ったアレ」

昨日………?
ごめん、植木、昨日の事さっぱり覚えてないのよ
多分植木に会いに行ったんだろうけどさ、話の内容なんてさっぱりなんだ。

「ん〜…なんだっけ?」
本当に分からないので悩むふりをしながら聞いてみる。
何か、植木の顔やばいくらい赤いんですけど

「こっ……告白したやつ…」

………?

頭に沢山の疑問符が浮いてる私は何となく分かったような気がした。
でもやっぱり分かんない

「何の告白?」
覚えてないんだもん。
悪気はない



続く