「・・・・何と言うかですね、地野。なんでボクが初詣なんかに?」
「五月蝿い。筆者は友情出演とか言われて機嫌いいんだ。それに、「ボク」だと坊ちゃんぽく聞こえる。「僕」にしておけ。首極。」
やだなぁ。わざとですよ?と笑う首極を横目にハァ、と溜息交じりの白い息を吐いていた。
「そろそろ帰るか・・・。参拝も済んだし。」
「そうですね。神谷さんに、お守りでも買っていきましょうか?」
お前より強いのに、お守りなんているのか?と聞き返すと首極は、それもそうですね。と苦笑いを浮かべていた。
「そういえば地野。なんて願い事したんですか?」
「・・・・・教えん。」
プイ、と後ろを向き歩き出す。小言で

「今年もいい年でありますように、だ」
と呟いた。精神年齢48歳の風野家長男は、精神年齢の割には幼稚な願いを持っていた。


「ふわぁぁ・・・。」
大欠伸をしながら、さっき大人三人にお年玉を上げた少年、風野ハヤトは、さっきとは違う髪形、ツンツン頭のあれがニョロンと垂れ下がり?大人しそうな小学生のような髪形になっていた。
「ナエのやつ、酷いや。こんなことしなくても・・・。」
ハァ・・・。と溜息をつきながらここら周辺の神社、西神山神社を目指していた。


その目的地についた頃。物凄い邪気みたいなのが充満していたのに気がついた。
「何だこれ・・・・。なんか、神剣辺りが出しそうな、同情しかしようのない悲しい邪気は・・・・。」
人ごみを掻き分け邪気の方向へと近づく。辿り着いたのは、藤色の振袖に身を包んだ、黒髪ロングヘアーの鬘とかんざしを挿した女の人だった・・・。いや、女か?なんか見たことあるような・・・・?

「しょうがねぇだろ、好きなんだよ『笑ってはいけないシリーズ』……!!」
いや、声が低い。もしかしたらお笑い好き?って事は・・・間違ってたらごめん!
「神剣?」
名字を言ったらクルリと振り向いたのは確かに神剣だった。

「なっ、風野・・・・!?」
「ん?何析羅?知り合いか?」
振袖姿のこっちは本当に女だ。
「お前その髪型・・・!」
痛いところをつくな。それよりお前の方が問題だろ。
「これは妹に・・・それよりお前・・・まさか、お前って本当は女―――――ブッ!!」
気付けば殴り飛ばされていた。決定。女じゃない。だって、女はこんな怪力じゃないもの。

「いてー。まぁ、性別間違えたのはこっちが悪いとして、お前がそんな格好してんのが悪いんだろ。」
「まぁ、そりゃそうだねー。」
「お前が言うな!これは、その、だな・・・。」
神剣が何かを言おうとしていると、となりの振袖が
「こいつ、録ったお笑いのビデオにつられたんだよ。」
へぇ〜。
「お前、プライドないのな。」
「お前に言われたくはない。」
そりゃご最もだな。
「ところで神剣。そっちの振袖は?」
「ん、こいつは彪音。」
「よろしく。俺は風野ハヤト。」
「風野・・?そうか!析羅の身内に金やったの君か!」
そうかそうか。と頭をポンポンと叩かれる。
あの、やめて下さい。

「?そうか。と言うことは神剣の彼―――――ブッ!」
本日二回目のブッが鳴り響き、神剣はこう言った。兄妹みたいなもんだ、と。
わかった。わかったけどさ。一々殴るのやめて・・・?
初詣から帰る頃には、頬がはれていた