五年前


「ハヤト、ごめんな。腕、なくなちゃって。」
やべぇ。意識が・・・・。くそ、死んでたまるか・・・。
ったりぃ・・・。でも、もう無理か・・・?

「・・・・」
何でだ、俺は何で生きてる?ま、いいか。
どうせ親父だろう。天界の医療が進んでいてくれたお陰で助かった。
ハヤトは?あいつ、どうなった?

「ハヤトさん!よかった、生きてた・・・・。」
となりの部屋から声が聞こえる。ナエだな。
一応、あいつも無事か・・・。
「おお、起きたか。」
「親父。」
ガチャリとドアを開け、入ってきた。
「なんだよ。」
「んーと、なぁ。本当はお前助からなかったんだ。誰かから、細胞もらわないといけないぐらい。」
「バカいうな、現にこうやって・・・って、おいまさか。」
「大丈夫だって。ハヤトの細胞は入っちゃない。何故か助かっちゃったんだ。で、どうだ。お前ら顔合わせづらいだろう?お前、他の家に住めよ。」
その言葉に乗せられて、俺は一人暮らしを始めた。
母が幼い頃に亡くなっていたので、家事なんぞお手のもんだった。

一人暮らしを始めてから数年たち、またいつもの様に学校に行って帰りの道をたどっていた時。
「誰だ?」
家の前に何か居た。
「あの、売込みとかはお断りしているんですが。」
「あいにく、売り込みでもないんでな。」
光を感じられない目に、低い声。
「ま、とりあえず上がってくれ・・・。人間を恨む天界人さん。」
ぴく、と男は反応する。ビンゴだな。


客間に招き、奴を座らせる。
「で、なんだ。用件は。」
「人間を恨んでいるとわかっているのなら、答は簡単だろう。俺と共ににんげ「やだ」
「まだ言い切ってないが。」
「やだね。暴力反対。」
フ、と小さな笑いをこぼした・・・・えーと・・・
「おい、名前。」
「神谷祐樹。」
その神谷とやらは、否が応でもうんと言わせたいらしく。
「お前の弟と妹をころ「やる」
人質をとってきた。ずりぃぞ。
「即答か。わかりやすい性格だな。」
黙れ。
「そういえば、お前の名前を聞いてなかったな。」
「表札みろよ。か――地野。地野カイトだ。あと、俺は人殺しをやらない。倒すのは自分の意志で決める。それが条件だ。」
「人質とられているのに条件とはいい度胸だな。」
「文句言うなら帰れよ。あと、血の臭いを付けた服で人の家に上がりこむな。」

その後能力云々の話しをされ、いい加減うざったいので追い出した。
地野カイト兼風野カイト。恐怖をあまり知らない人。