夢を見る、いつも同じ夢、私は知らない人と一緒に激しい戦いをしていた。
 一人、私のほうに優しく頬笑んでくれる男の子がいた、その人が愛しかった・・・でも、顔がわからない、誰なのか・・・私はその人と何か関係があったのかさえ、思い出せない。
 あなたは誰なの?一体私の何なの?ここまで言って夢は終わる・・・。
 いつもの展開、進展しない私の夢、知らない4人の同学年だと思われる人物。
 愛しい人・・・私が不完全になる前まで逢っていた気がする。
「あい!起きなさい!」母の怒鳴り声で起きた。
「はいはい」だらしない言葉を返し、着替え始めた。
 いつも通りの生活、でも・・・なにか、足りない気がする。
 今日もいつも通りに始まって、いつも通りに終わる・・・なにか、違う気がする・・・不完全になる前の私は、もっと楽しかった、学校へ行くのも、授業も、帰り道も・・・全てが楽しかった・・・けど今は違う、何もかもがつまらない・・・。
「なに、ぼけっとしてるの?」母は笑った顔をしながら怒っていた。
「ノックぐらいしてよ・・・」少し反抗。
「あなたは、植木君が行方不明になってから変よ?」引っかかる言葉・・・そう、植木って誰?
「植木くんって誰?」素直に質問。
「からかうのはよしなさい」からかったつもりは全くない。
「からかってない」素直に返す。
「はいはい」あきれた様子で母は、一階へ下りていった。
(本当にわかんないのに)少しいらついて、私も下へ下りていった。
 植木と言う存在、私は彼の名を聞くと、夢が・・・夢の中で出できた人たちを思い出す「関係ないよね・・・」と言う感じにいつも考えている。
 植木とは本名植木 耕助私の通っている学校、火野国中学校の今、行方不明者として、有名になっている。
 植木と言う存在は家族の中でも忘れられているらしく、どこへ行ったかまた、生きているのかすらわかっていない・・・。
「いってきま〜す」いつも通りの道を通り、学校へ向かう・・・途中に私が不完全になった場所があった。
「なにか・・・思い出せるかも」そういって、今日は学校を休むと決心した。
 何も無い・・・川があるだけの風景をただ見ていた・・・。
“ズキッ!!!”
 急な頭痛に襲われた。
「痛!」一瞬の頭痛に戸惑う中で、少し不完全になる前のことが、よみがえった。
『オレ・・・と・・てやる、こと・・・・てダメだ・・のかって・・らな』
 完全にはわからない、私は不完全になる前に誰かと話していた、でも知っている人で忘れるなんてあり得ない。
 となると、植木耕助と言う存在が頭を過ぎった。
(私、彼と話してたの!?)植木が行方不明になる前に私は彼と話していた。
(そっか・・・愛しかったのは、植木だったのかな?)今度、写真でも・・・と思いながら、不完全な私は完全になっていく