「ねえ植木、高校どうすんの?」

「え?」

「だって、勉強の才を失くしたあんたの学力で行けるとこあんの?」

「うーん」

学校の帰り道、森が植木に聞いてきた。

もっとも、中三でこの時期になれば、否が応でも進路や進学関連の

話になるだろう。

ただでさえ植木は繁華界に1ヶ月以上もキューブを取り戻すためにいたのだ

勉強面で森が心配する気持ちも分かる。

「どーっすかな・・・」

「どうって・・・自分のことじゃない!!」

「あ、あのお婆ちゃんどうしたんだろ?」

「え?」

視線をやるとそこには、買い物袋を掲げて立ち止まっている老婆が。

目の前には、あきらかに傾斜が高そうな階段。

おそらく、買い物袋を持っては登れないのだろう。

それを見た植木は

「よし、助けよう!!」

「あ、植木!」

そういうと植木は老婆のところへ進みだした。

(植木っていつも、そうよね。)

森は植木の事が好きだが、やはり自分は植木のああいった

正義を貫く所が好きになったのかもしれない。

いつも必死に戦って、傷ついて、才を減らして・・・

ただ・・・ただ正義のために自分を動かす姿が。

(私も手伝おう)

森は植木と老婆の所へ駆け寄った。

「私も手伝います」

「いいのかい?お譲ちゃん」

「ええ」

森は老婆の買い物袋を持った。植木は老婆をおんぶしながら階段を登り始めた。

登ってみると分かるが、かなり上るのがキツイ。

この老婆一人で上るのは、かなりの時間と労力を必要とするだろう

森がそんなことを考えているうちに、階段を上りきった。

「どうも、すみませんねぇ」

「どういたしまして」

「お婆ちゃん、あんま無理すんなよ」

そういって二人は再び岐路に着いた。

「なんか人助けとかすると気持ちいいね」

「ああ、そうだな」

「そういえば、さっきの高校の話だケド、あんた本当どこいくのよ?」

「そうだな・・・・・・・」

(植木と同じ高校いきたいな・・・)

それが、無理な事だというのは自分でも分かってる

森が受ける高校もそんなにレベルが高いわけではない。

だが、植木からすればどのの高校に入るのも必死だ。

ケド、やはり好きな人と同じ高校に行きたいという気持ちは変わらない

そして植木の口が開く

「森・・・」

「何植木?」

その言葉は森が望んでいた言葉で――

「一緒に高校行くか?」