植木たちは気絶しているボスを下の
モニタールームまで運んだ。
下についたら突然、ウールが出てきた。

 

 

「よし! 我輩のキューブを解放する!!」
「あれ? ウール、お前今までどこに・・・?」
「え・・・我輩は・・・」

 

ビビッてウールは隠れていたようだ。
ウールは咳払いをし話し始める。

 

 

「まずは、この装置を我輩の頭にはめる」
「よし・・・こうか」
「次にそこの「やめろー!」

 

 

突如、気絶から目覚めたボスが大声で叫ぶ。
まだ、あきらめていないようだ。

 

 

「悪あがきはよしたまえ。君は植木君に負けたんだ」
「く・・・くそー!」

 

 

ボスがたちあがり逃げ出そうとするが、
植木・ハイジ・ナガラの3人に囲まれては身動きがとれない。

 

 

「くそ! こんなことならあの『あのアホっぽい妹』でも
人質にとってれば――「ミリーの悪口を言う奴は殺す!」

 

 

ハイジに殴られまくっているボス。
その間にもウールの指示が進み

 

 
「よし、そのボタンを押すんだ!」
「うんわかったよ」

 

 

ソラがキューブ開放のボタンを押す。
その瞬間丸い光のような物が天に向かって飛んでいった。
その内の一つが森の頭の中に入る。

 

 

「あ・・・なんか記憶が段々鮮明に・・・」
「よし、キューブ開放成功だ!」
「く・・ぐそっ・・・おぉ・・・」

 

 

殴られまくっていたボスがくやし声を上げる。
ウールがハイジに言う。

 

 

「よし、後はこの機械を壊すんだ。そうすれば2度と記憶を奪うなんて
真似はできなくなる」
「よし、まかせろー!」

 

 

ハイジは、効果を追加した洗濯機で
モニタールームの機械を完膚なきまで壊す。

 

 

「あ・・・あ・・・あぁ・・・」

 

 

さっきから、悲惨な声しかあげないボス。
そんなボスを無視して、ウールは話を続ける。

 

 

「よし、後はお前たち二人が元の世界に帰る準備をするだけだな」
「何か手伝うことはあるか?」
「いや、すぐに終わる。お前たちはミリーを連れて来い。
最後にあいさつでも「ミリー! 今行くぞー!!」

 

 

最後まで話しを聞かないうちにビルを飛び出していく
ハイジ。森があきれたように聴く。

 

 

「あの人っていつもあんな感じなの?」
「まぁ・・・たまにな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夕方。すべての準備が終わった。
メガサイトのメインコンピューターはすべて破壊。
普及まではかなりかかるし、2度と悪巧みも出来ないそうだ。
植木もウールから転送板をもらい帰る準備はできた。
機械につけるタイプとは違い、人が持つだけでワープできる
タイプのようだ。1度しか使えないらしいが。

 

 

「ウール、最初から最後まで本当にありがとな!」
「我輩は命を救われた恩を返しただけだ!」

 

 

そんな事を言っていても、どこか照れているウール。
森もハイジたちに頭を下げる。

 

 

「すみませんでした・・・記憶を奪われているとはいえ・・・私・・・」
「気にすることないよ森っち」
「そうだよ。気にすることありませんよ。ね、お兄ちゃん?」
「おう! その通りだ! 気にするな!」
「記憶を奪われてたんじゃしょうがなし、君は騙されていただけだ」

 

 

励ましの言葉に、思わず目が潤む森。
今度は植木がみんなにあやまる

 

 

「みんな本当にありがとう。キューブを開放できたのは皆のおかげだ」
「だから気にすることないよ植木っち!」
「お前をメガサイトまで連れてかなきゃ俺の筋が通せねぇって言ったろ!?」
「君に協力するって最初から決めてたしね」 
「羊飼いさん、元気でね!」
「おう!」 

 

 







 

 
 
 
こうして、植木と森はハイジ・ナガラ・ソラ・ウールと別れた。
歩くたび、周りの景色が少しずつ光出した。
別世界に移動する時はいつもこうなる。
人間界に帰ると言う証拠だろう。

 

 

「本当にいい人たちだったわね」
「ああ。本当だな」

 

 

これまでの事を話しているとき、
森が植木に聞く。

 

 

「そういえば植木って、私にキスしたよね?」
「え?」
「私の事が好きだーって?」
「え・・・あ・・ぁその・・・」

 

 

あの時は無我夢中で、恥ずかしさが何もなかったとはいえ
今、聴かれるとさすがに恥ずかしくなってきた。

 

 

「私のこと、どう思ってるの?」
「俺は・・・」
「俺は?」
「森のことが好きだ!」

 

 

植木ははっきりと森に告白する。
その言葉を聞いた森はゆっくりと
自分の腕を植木の首に回し、植木に顔を近づける。

 

 

「私も・・・植木の事好きだよ」

 

 

ゆっくりと森の顔が近づく。

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
そして、二人の唇が触れた


 










森は記憶を失っていたときのように抵抗せず、
ただ、目をつぶり植木と唇をあわせている。
植木は、キスをしている間に改めて誓った。
これからも絶対に森を守っていくと。

 

 

そして重なり合っている二人の周りをまばゆい光が包んだ。