おかしい・・・
植木はそう思った。
どうも森がおかしい。
彼女が自分と接しようとしない。




今までは一緒に帰ろうとか、勉強はどうとか聞いてきたのだが
ここ数日、自分からは何も聞いてこないのだ。
こっちから話しかけても、はぐらかされたりして
そのまま終わってしまう。
ここ最近森に迷惑をかけた覚えも怒らせた覚えもない。
何が原因なのだろうか。
ふと植木の中で数日前に告白されたシーンを思い出す。














「私と付き合ってください!」
さすがにあの時は驚いた。まさか自分に告白してくる
人がいるとは、しかも学年で噂になっている美少女から。


しかし最初から植木の心は決まっていた。
ガラスが落ちてきて助けた後素直に答えた。




「せっかくだけど、ゴメン。俺好きなやついるから」
「やっぱりね・・・」
「え」
「植木くんんに好きな人がいるって分かってたよ」
「そうなのか?」
「言ったでしょ?植木くんのことが好きだって。
いつも植木くんの事を見てたんだから、好きな人がいるって事ぐらいわかるよ」
「じゃあなんで・・・」
「無理ってわかってても・・・ちゃんと伝えたかったんだ私の気持ち!」







植木は正直に彼女がすごいと思った。
駄目だと分かっていることに自分から挑戦している。
それに比べていつまでも自分は何をやっているのやら。
まだ森が好きな人がいると分かっているわけでもなく、
このままの生活でいたいから、告白して失敗したら
何もかも今まで築いてきた関係が終わってしまうのではと恐れていた




だがあの少女は自分に告白してきた。
植木と彼女は特別な関係というわけではないが、
今までのように接するには時間がかかるかもしれない。
やはり告白をする、された関係でありその告白を
植木は無にしてしまった。
そこまで考えると植木は決心を固めた。




放課後、陸上部へと足を運び部活をする。
そして帰路につく。
校門に目を向ける。
少し前までならここに森が立っていて待っていてくれたのだが・・・




その足は家ではなく森の家に向かっていた