「も・・・り・・・?」
 
植木は驚愕した。
なぜ森がここに・・・繁華界にいるのか?
なぜメガサイトのボスと一緒にいるのか?
 
「森・・・俺だ・・・分かるか? 森!」
 
植木は森に声を上げて呼びかける。
植木自信、森のキューブはすでに失われているという事を覚悟していた。
だがそれでも、わずかな期待があった。
それを思うと呼びかけずにはいられなくなった。
 
「あんたね・・・」
「森!」
「あんたが皆の記憶を奪ったのね!!」
「・・・・?」
「そうさ。彼が皆の記憶を奪った悪人だよ」
 
ボスが森の肩に手を置き語りかける。
これには植木だけでもなく横にいたハイジたちも驚いた。
記憶を奪ったのは間違いなくあいつだ。
それなのに何を言っているんだ? と。
 
「森違う! 記憶を奪ったのはお前の隣にいるそいつだ! そいつが皆の記憶を――」
「嘘! じゃあなんでその羊をあんたが持ってんのよ! そいつが皆の記憶持ってんでしょ!」
「我輩は正真正銘の犬だ!」
 
その口をソラが静かにという感じで両手で押さえる。
その言葉と同時に植木も言葉に詰まった。
確かに今現在、みんなの記憶を持っているのはウールを持っている自分だ。
普通なら記憶を持っているやつが奪った奴と考えるのが普通だろう。
そしてその記憶は今、自分が持っている。
そう考えている内に森が剣を振り回しながら、植木に突っ込んだ。
 
「くそ!」
 
ハイジが構える。
しかし
 
「ハイジやめてくれ! 森と話をしたい!!」
 
真っ直ぐに植木に振り落とされた剣を植木はモップを棒の部分で防ぐ。
森は必死になって剣を振り落とすが、スキだらけだ。
剣をはじこうと思えばはじける。
だが、植木は森を相手に戦うことができなかった。
 
「森・・・何で・・・何でだよ!?」
「あんたが皆の記憶を奪ったからでしょう!!」
 
森は完全に植木を敵扱いしている。
以前のような面影はまるでない・・・
植木は森の攻撃をかわすため、柱の陰に隠れる。
が、次の瞬間森の一振りで柱がまっ二つにされた。
 
「な・・・何?」
 
森の攻撃を今まで受けてきたモップの棒部分は剣跡がついてこそいるが
折れはしなかった。だが、直径30センチはあろうかという柱は折れている。
驚いている植木にボスは、話す。
 
「驚いたかい? それがその剣の能力だよ。「剣」に「斬」を加える能力」
「森が・・・職能力を!?」