「植木!」
「・・・いつもにまして機嫌良いな。森。」
「まあとにかく、今日は何日でしょう?」
声がはずむ。植木が、答えてくれるといいんだけど。
火の国中学校の屋上で、私の声が響く。
「・・・?2月8日・・・?」
「あんたね!今、8月でしょ!」
「・・・そうだっけ?」
夕日が沈んでいく。とても綺麗だ。植木が首をひねる。
答えて。っていうか、答えられるでしょ?
「・・・8月・・・8日・・。」
「正解。何の日?」
「8月8日。」
「そうじゃなくて・・。」
今日は、特別な日なんだよ。
「・・・さっき、皆に電話したら、分かってくれたのに。」
「・・・んじゃ、7月4日は?」
「は?」
7月4日・・?あ。
「植木の・・・誕生日?」
「今日は森の誕生日だろ?」
「うん。」
「森、その日『なんかあったっけ?』っていってたぞ。」
「・・・あ。」
やばい。どうしよう。さぁっと、顔が青ざめる。
「あ・・・植木・・。」
「もーいいよ。プレゼント、もらったしな。」
「はい?」
あげったけ?いや、あげてない。
「森ってさ、いつも一日一回は俺に笑ってくれるだろ?それで十分。」
「えー・・・。でも・・。」
ひどいこと言っちゃったし・・。
「森。形無いもんくれたろ。だから、俺も返す。これは長続きするぞ。」
「?」
「一生俺が守ってやるよ。」
・・・。長い沈黙。
「・・・私がどこにいても?アフリカにいても?火星にいても?」
「うん。(というか、火星に、森行くのか?)」
「・・・。」
「足りないか?」
植木が顔を覗き込む。
「ううん。」
私はとびっきりの笑顔で返す。
「そっか。」
植木が笑う。
「もう遅いだろ?送ってやるよ。」
「え?いいの?」
「別に。ただし、来年の誕生日まで、俺を嫌うなよ?」
「なっ・・・。当たり前でしょ!一生、あんたのこと嫌うわけないじゃない!」
「・・・サンキュー。」
沈みかけている夕日に照らされながら、植木が笑う。
私は、その笑顔をみて、顔が赤くなるのを感じた。
〜おまけ〜
「ん?森、顔赤いぞ?熱あんのか?」
「ないわよっ!ゆ、夕日のせいよ!」
「え?幽霊のせい?」
「どう聞いたら『夕日』が『幽霊』に聞こえるのよー!」
あとがき。
森!ファイトだ!植木!がんばれ!(なんだこのあとがき)
初めて書きました。どうでしたか?