今日は佐野の部屋に犬丸が遊びに来ている。
と、言うよりも佐野の勉強を犬丸が見ていうのだが。
勉強が飽きた佐野は隣で本を読んでいる犬丸に話しかける。

「なぁ。ワンコ」

読んでいた本から視線をはずし、佐野を見る。
「何ですか?どこか分からない所でもありました?」
そういって、ノートを覗き込み「どこですか?」と聞いてきた。
「あ、いや。ちゃうねんて、もう勉強はえぇねん。」
そう言って、教科書とノートを片付け、イスを回転させ犬丸と向き合う角度で止め、話しかける。
「…なぁ、温泉いかへん?」
キョトンとした顔で見てくるので、不思議に思った佐野は
「嫌か?温泉」
すると慌てて返事を返してきた。
「ああぁ、いえ。そう言う事じゃなくて…」
「?」
「…やっぱり好きなんだなぁ…と思いまして…」
佐野はニッコリと顔に笑みを浮かべて
「当ったり前やないか!温泉ほどえぇモンはないんや!」
「あははははっ、佐野君らしい…」
「何や、それ」
馬鹿にされたのか、褒めているのか分からず、ただムスッとしていると
「そう怒らないで下さいよ」
といって、犬丸はイスから立ち本を棚に戻すと、またイスに座り佐野に話しかける。
「…僕なんかでよければ、ご一緒します」
「ホンマかっ!?」
「はい」
すると、満面の笑みで犬丸に飛びつく。
「サンキューッ!!!ワンコ」
犬丸は一瞬の出来事に理解が遅くなり、今どうなっているのか判断がつくのに大分かかった。
「さっ、佐野君っ!!?」
慌てている犬丸をよそに、ケロッと態度を変え
「さ、そうと決まればさっそく予約とらなあかんな!」
と言い犬丸から離れ、びっしりと雑誌の並べてある本棚から、一冊の本を取り出して「えーと、確か…」と呟きながらもページをペラペラとめくっていき、あるところに止まると
「おっ、あったあった!これや!これ!」
本を持ったまま、まだ固まっている犬丸に「これや!」といって、ある温泉旅館のページを広げて目の前に差し出した。
「…『温泉マニアも絶賛、夢の極楽浄土』…??」
「わいも此処お勧めやねんて!!一生に一度は入らんと損やでぇ!!!」
「そ、そうなんですか…?」
詰め寄ってくる佐野に、ビックリしつつもその瞳を見ると、もう温泉の事しかないようにさえ感じる。
「せや!ほな、予約して来るでぇ〜」
そういい残すと、受話器を持ちせっせと番号を打ち早々と予約を済ませ、戻ってきた。
「随分と慣れてますね。予約の仕方…」
「だてに何件も温泉旅館の予約とっとらんて」
「そうですね…」
と、苦笑いをする犬丸。

「あそこは、俺の評価やと『五つ星』や!!」

「『五つ星』…ですか…?」
「俺の中の最高っちゅーこっちゃ!」
腰に手を当て、自慢するかのような自信に満ち溢れた立ち方は彼のよくやる癖だ。
「それはさぞかし凄いんでしょうね…!」
「当ったり前や!!ワイの目は確かや!!」
「…そうですね」
顔に笑みを浮かべ、佐野を見る犬丸。

「でもな…『十つ星』もあんねん」

さきほどと、うってかわって何となく顔が赤い佐野。
「…『十つ星』…!?最高を超えてさらに最高って事ですかっ??」
「…あぁ…、最高や!」
赤い顔を笑ってごまかそうとしても、先程より更に赤みを増した顔は隠しようが無いだろう。
「何なんです??それって…」
「……………っ////」








「                」






「………えぇえっ!!??」
「あぁあああっ!!!////もうえぇわっ!!ほらっ!!準備や、準備っ!!!」


(どうしよう…すっごい嬉しい…)


「ワンコッ!!!」

「!ぁ、はいっ!!」




「今言ったの………嘘や無いから…/////」


「………はい!!有難う御座いますっ!!」
「////////」

「佐野君っ!!!!」
「あ〜?」

「僕もです!!」

「……サンキュ…」






    【俺にとって十つ星は『ワンコ』。お前や】


   

    あとがき

まず、すみません。
自分の文才が無い事を改めて思い知らせれました。
間違いなどあってもスルーしてあげてください…(汗
キャラもなんか違う感じが…
すみません。なんか無駄に長くて…
それでは、今まで読んで戴いて、有難う御座いました。
 
                   創痍