みんなのキューブがもどり繁華界の出来事から一年が経った。
季節は秋。紅く染まったもみじが当たり一面に広がって季節はもう冬へと移り変わろうとしていた。
ここはとある公園。そこには二人の男女が落ち葉を集め掃除をしていた。

「…いつも悪いな森。手伝ってもらって」

この男子は火野国高校一年D組・植木 耕助 16歳

「なによ、いまさら」

こちらの女子は、同じく火野国高校一年A組・森 あい 16歳
太陽はもう沈みかけて、辺りが、もみじの色のように紅く染まってきた。
二人はそんな中、箒を掃きがら喋っていた。

「うぅ〜〜、なんかこの頃いちだんと寒くなってきた感じしない?」
「…そうか?」今にも寝むりそうな顔で言う植木。
「そうよ!!」森はなぜかムキになりながら叫ぶ。

こんな寒い中こんなとこでよく寝ようと思えるわよね、と心の中で呟きながら箒を動かす。
そして、ふと何かを思いだしたように植木に話しかける。

「そういえば植木、今度佐野と鈴子ちゃんとで遊園地に行こう

って事になったんだけど、もちろん行くよね。」
「…高校生にもなって、遊園地?」

どこか面倒くさそうに言う。

「い、いいじゃん別に!」またムキになりながら言う。
「で、行くの、行かないの?」真剣な顔をして森は聞く。
「いいぜ、行くよ。久しぶりにみんなに会いてぇし」

掃除が終わったので、箒を片付けながら言う。

「よかった…じゃあ今度の土曜に10時に駅前に集合ね。」
「おう…じゃあ、今日は帰るか」
「あ、うん」

片付けが終わり、家に帰ろうと二人は歩き出した。


そして帰る途中、森は隣で歩く植木の左手をチラッと見た。
そしてその手を握ろうと自分の手を近づけるが…
急に植木は立ち止まる。

「…ん?そういえば森、ヒデヨシは?」
「え!!」慌てて手を引っ込める。
「あぁ〜、たしか太陽の家で劇の練習があって忙しくて来られないだって」
「…そうか、それは残念だな」

ふたたび植木は前を向いて歩き出す。

「…はぁ〜」と、森はため息をつく。
「ん?どうした、森」ため息に気がついたのか、植木が聞く。
「え、あ、いや、な、なんでもないよ」

「?そうか?じゃあ、俺はここで。土曜…駅前だよな?」
「…あんたちゃんと聞いてた?駅前に10時!!忘れないでよ!!」

「おう、じゃあな」
「うん、じゃあね」

と別れの言葉をかわしてここで二人は別れた。

「…はぁ〜……私の意気地なし…」
植木の後ろ姿を見ながら、森は呟いた。