「なぁ森、ほんとにおれんち行くのか?」
「いいじゃん、だってあたし一回しか行ったことないんだもん」

彼女が自分の家に来るという意味をまったく理解してない植木は、
なぜそこまでして来たがるの疑問に思っている様子

…なんでこいつはこんな時に限ってこんなに鈍感なんだろう…、森はため息を付きながら
歩く

「…………ん?なんだ、あれ」
「……え?」

植木が指差した方を見るとなにか小さな行列ができている
その行列の先を見てみると女の人が道端で丸いテーブルをだして何かをしている
興味を持った二人はそこに近づくと

「あ!あいちん!」
「え、みっちゃん!?」

その行列の中に森の友達が偶然にも並んでた

「あれ〜〜もしかして植木君とデート中?」
「え!/////え、えっと……////」

まさかデート中に友達と出会うとは思わなかった森はかなり動揺

「そ、そんなことよりみっちゃん、こんなとこでなに並んでるの?」
明らかに話題を逸らそうとしている

「え?占ってもらうためにここに来たんじゃないの?」
「…占い?」
そう言われてよく見たらその女の人はカードのようなものを机に並べている

「そう、なんかよく当たるって聞いたから…恋占いしてもらいに来たの!」
「へぇ〜……占いかぁ……」
そう言ってなにか考え込む森を見て植木はなんだかいやな予感がした

「…………よし!植木、あたしたちも占って「だめだ」
言い終わる前に断る植木

「な、なんでよ!」
「おれ、そういうの興味ないし…信じないタチだから」
そう言ってさっさとこの場を後にしようとする……が…

「まちなさい!!」
「…グエッ!」
襟元を掴まれ止められる

「さっきなんでも言うこと聞くって言ったわよね?」
「あぁ……でもおれの家に行くんじゃないのか?」
「………そうだけど……べつに一つだけなんて言ってないでしょ?」
「……………」
そういって無理やり並ばされる植木だった…

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「次の方…どうぞ」
「あ、はい」
森達の出番が回ってきて前にあった椅子に座る

「なにを占いましょうか?」
「え!………そういえば決めてなかった…」
「………森…(汗)」
う〜ん、と唸りながら考える森

「失礼ですが、おふたりはお付き合いされていますか?」
「え……あ、はい!////」
「でしたら……おふたりの恋愛相性を占いましょう」
「あ、じゃ、じゃあそれをお願いします」
ドキドキしながら聞く森
明らかにどうでもいいやってな感じの植木

「ではおふたりの正座はなんでしょうか?」

「し、獅子座です」
「えっと……なんだっけ?」
「あんたは蟹座でしょ!」

「わかりました……ではこのタロットカードで占います」
そう言っていかにも年期がはいってそうなタロットカードを取りだし並べ始めた

「……………」
植木も興味がないっとは言っていたがやはり気になり、チラッとその様子を見る

「……………でました……太陽の生位置…」
「ど、どういう意味……ですか?」
少し不安になりながら聞く森

「今のあなた方は、永遠に続く関係よりも、例え一瞬でも気持ちが通じ合えることに喜びを見出すことができる
……という意味です……つまり相性が良いみたいですね」

…………よかった〜、とホッとした様子の森と植木

「ですが…未来を示すカードが……月の…生位置……これは、二人の関係は先がみえない不安定な状態を迎え、
これからどうなるかはしばらく予測がつきません……それが二人の心に不安と恐怖をもたらしてしまいます…」

サァーと二人の顔が少し青ざめる

「でも大丈夫です。これを乗り越える方法は…相手を信じること…ただそれだけです、安心してください」

と微笑みながら言う
それを聞いて二人は顔を見合わせる

「相手を信じる…か、簡単…だよね?」
「………当たり前だろ?」

なにいってんだ?と、いうような顔で言う植木を見て安心する

「ではお代が………二千円になります」

「「…………たかっ!!」」

払わされたのは植木だということは言うまでもない